スリーA増田末知子先生の講演録

2011年2月5日午後1時半〜3時半
寝屋川市福祉総合センター5階多目的室
主催:寝屋川市老人介護者家族の会

講師:高齢者リフレッシュセンター スリーA 増田末知子先生

「認知症ケアを学ぶ」〜食い止めよう・引き戻そう・予防しよう〜
増田先生の講演

今日の参加者は、
◎介護者家族の会→ 認知症ケアの話
◎ 行政・地域包括支援センター→制度が変わるので、その話も入れる
◎ サービス事業者→施設では、よいケアをやってほしい
◎ 一般の方→認知症を予防しよう

この4月から制度が変わってくる…どのように市町村が取り組んでくれるのか?
関西は、NPO認知症予防ネットが広げてくれている。北陸には、自分が入っているので、広がりつつあるが、一番心配なのは、東北地方。

認知症予防ってなんなのか?」

◎ 発病を予防したい
◎ 認知症発病したのを食い止めたい。重度化の予防

「自分が入りたい施設“折り梅”を作った」

ある方が、二年前に物忘れが心配で、医者に行きレントゲンをとり、写真を見て年齢のせいでしょう。と言われた。二年後、同じ病院に行き、またレントゲンを取り、今度は、アルツハイマーと言われた。二年前に何とかならなかったのか?ということがある。

認知症になり、介護保険申請をしたら、要介護状態でケアマネージャーが来て「デイサービスに行きなさい」、デイサービスでは「昼間からお風呂に入り、ご飯を食べて帰る」。家でもお風呂に入れるし、ご飯も食べられる。デイサービスで「認知症を良くしてくれないのか?」。

「折り梅」では、入浴サービスはない!メニューは豊富、個人メニューも人それぞれに考えている。緑の多い場所なので、散歩で森林浴が出来ている。トイレの失敗は皆無。お仲間さんは穏やかで食い止るので、「折り梅」に入りたい希望者が他の地区から出るが、他の市町村からは入所できない規則。どうしても「折り梅」に入りたいのでその理由を書いて提出するように言われた人が居る。自分の地域の認知症対応デイサービスを調べ、「食い止められる施設はなかった」。その書面が認められて同一県内での越境だったが受け入れが許可された。お陰で、いつも通所をしている状態。

スリーA折り梅では、認知症は食い止るのは確か!
皆で認知症に挑戦している!
あきらめない!食い止められる!

100名のうち、一割10名が統計上認知症になる。男女比率は、女性が多い。自分(講師増田先生)は性格上、認知症になる確率が大で、きっとなるはずだから、あと何方か9名は認知症になる。10名のうち4名が統計上では重度になる。認知症になりやすい性格の傾向がある。私は認知症になるはずだから、自分で入りたくなる施設を作った。「折り梅」では送迎も担当しているし現場でも活動している。

サービス事業者の方に…
自分たちの施設で、自分たちが入りたくなるようなケアをしてほしい。

「重度にならないように食い止めたい!」

合宿型の時は、24時間お仲間さんと一緒に過ごして、疲れ果てていて、介護地獄を味わったが、そのお陰で、家族の方々と、話しやすくなった。
認知症という病気は長い!
2,〜3ヶ月の病気とは違い、発病から終わりまでのスパンが長い。
認知症の人は、理解が出来ない、言葉を失う、認知できない、忘れることが多くなる。自分で困ることが多くなるのに、言葉に出来ない・表現出来ないのが認知症。

「本当に予防できるのか?」

認知症の方は、都合の良いことを言う、自分は正しい、家族が悪い、と人のせいにする。
「何とかしてください神さま、自分は悪いことはしていないのに…」とまともな事を言うこともあり、自分を表現できないので、可笑しなことをしたり、まだらボケと言われる。その方たちを認知症の世界から、引っ張り上げて欲しい。

合宿型では、三ヶ月合宿で家を留守にしてしまうと、住んでいた部屋がなくなるので、部屋がなくならないように、週末には自宅に帰る規則。遠くからも入所されていた。

冗談が言い合える間柄になると、その事が良い緩衝材になる。会話がとても大切。一方的に喋り捲る人にも、15分間と時間を決めて傾聴する。

会話がなくて寂しい、色んな寂しい想いをしている。急に認知症になるのではなく、5年間ほど「物忘れ」状態があり、ガクッと落ち3年くらい経つと、物忘れ妄想になると、頭のレントゲン写真にも萎縮が写る。

頭のトレーニングはやらないより、やったほうが良い、良いという物は何でもやる。何にもしないと悪化する。

早期発見、早期対応。
楽しいこと、笑うこと、予防のために笑う!

認知症の人は、不思議だが、智恵が働き、良いカッコしい=必死に生きている。生きる智恵がある。
認知症予防をして、食い止められれば、本人も良く、家族も良く、介護保険にも良い!
食い止められ、喧嘩が出来るようになり、嬉しい!と家族は言う。

「折り梅」には、褒めるために多くの職員が居る。
家族は、怒っても良い。腹が立てば怒ればいいが、怒った自分を責めてはいけない。そんなことを思わなくても、身内だから許してくれる。本人も腹が立つことは、身内には言い、他人には言わない。

いろんな場面には、気分を変えながら、工夫をする。
施設では名前を呼ぶことが大切。
本人の希望を聞いて、呼ばれたい名前で呼ぶようにする。
自分を表現する言葉が出ない、この状態から抜けられるのか?
「生きる」のはどうすればよいのか?必死で生きている。
介護の中で「あなたが大好き」「あなたを大切に思っている」ことを伝えて欲しい。

好きと言うことは、よくしゃべって、よく笑って、よく手を使う。

ボケたくない人は、
思い出つくりをしてほしい。夫婦ごっこ、親子ごっこ、

ボケたくない人は、
散歩30分、大声で朗読10分、日記には漢字をつかってつける。

日常生活が崩れて、度が過ぎると「予防教室」に入れたい。
軽度の認知症は、放っておくと2年後に悪くなる。
頭のリハビリをやってほしい!

「折り梅」では、預かるのではなく認知症と戦う。
本人を中心に考える、大事に思う。
心から伝える、口先だけではいけない!

「問題解決法」

折り梅では、リハパンは外してもらう、おしめをつけていては、頭は良くならない!リハパンを外して、パンツだから気をつけて、早めにトイレに行きましょう!

その人の痛み…おむつは嫌…に対処する。

観察→推理→計画→実行
説得は無理!

スリーA折り梅では、
頭を良くしたいという目的をもって、種目を沢山している

9時40分から16時まで、大騒ぎの毎日。演劇をやっていた人が入ってきた。お芝居は出来ないが、紙芝居に挑戦している。

その人の強み(一番好きな強いこと)をして過ごしてもらう。
足湯→心を伝えるためにやった、お風呂の嫌いだった方が、何故だか判らないが、足湯を二回ほどしたら、家での入浴を自然に入るようになった。
良い状態にするのが大切!

本人が怒っているときは、説得できない、原因はある。
どうしてなのだろう?
闇雲に怒っているわけではない。
身体と心の連動性がある。

難しい時には、介護者家族は 腹を立てても良い。許せる。
でも自分を責めない、苛めないで欲しい。

誕生日に連れ合いの顔を見つめてみる。2,3年前と比べてみる。TVのニュースの内容を聞いてみる。あやふやだったら、ちょっと変だと気がつく。
介護中でも見つめて、親が別人になる前に気がついて欲しい。

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講演中にメモをしたものを頼りに書きました。
増田先生は、パワーポイントやビデオを駆使して、お話をされました。画面を見ながら、先生の仰る大切なことを書いたつもりですが、多くは抜けていると思いますが、お許し下さい。

今回は、介護中の方々、行政の方々、サービス事業者の方々、そして一般の方々が 入り混じった聞き手だったために、増田先生は、盛りだくさんのことをお話くださいました。

介護中の方々へは「怒りたい時には怒ったら良いのよ〜本人は身内だから許してくれるから〜しかし、怒った自分を責めないで欲しい、苛めないで欲しい」と優しく優しく 語ってくださいました。

行政の方々には「4月から制度が変わるので、良い方向に捉えて、取り組んでくださいね」

サービス業者の方々には「ご自分の施設は、ご自分の身内を入れたいですか?自分で入りたいと思いますか?ぜひ、入りたいと思うようなケアをしてくださいね」

一般の方々には「ボケないためには、散歩を30分、大声で新聞などを10分間朗読して、漢字の意味を考えながら日記をつけてください」と教えてくださいました。

まだ、増田先生の講演を聞いたことのない方は、ぜひ 何処かで講演のあることをお知りになりましたら、お聞き下さい。介護家族としての私は、十二分に慰められ優しく励まされ、勇気を与えて頂きました。

 文責:福井恵子

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初めて増田先生の講演を聞いた時に、自分の親でもない他人の認知症のために、どうしてここまで身を粉にして尽くすことができるのだろうと驚嘆したものです。年月を経たいまも、増田先生の熱意は微塵も衰えることがありません。

スリーA方式の認知症予防教室が、津々浦々、国境を越えて広まってほしいと願います。(高林実結樹)