『文楽の楽しみ①』〜文楽入門〜

(%紫点%) 前期講座(文学・文芸コース)(3月〜7月:全14回講義)の第1回の講義報告です。
・日時:平成23年3月3日(木) 午後1時半〜3時半
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題: 「文楽の楽しみ①」〜文楽入門〜【文楽の歴史】
・講師:本城佳恵子先生(元府立福井高校教頭)

前期講座「文学・文芸コース」は、平成23年度に新設のコースです。
(特色)
・文学(古典、江戸、近世)、文芸(歌舞伎、文楽、能、狂言など)、朗読などを対象。
・それぞれ楽しく学ぶことを基本にしています。
・文芸は、講義とともに「観劇会」(自由参加)を行います。
・朗読は、声を出して皆さんが参加します。

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(%エンピツ%) 講義の内容:「文楽の歴史」
Ⅰ 文楽の始まり
「人形浄瑠璃」・「文楽」
ー文楽(ぶんらく)といえば、人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)を示す代名詞です。
「三業(さんぎょう)」
−「①大夫(語り)・ ②三味線・ ③人形」
−文楽は、浄瑠璃を語る太夫と、その伴奏をする三味線弾きと、太夫の語りに合わせて人形を操る人形遣い の三者の技の総合によって繰りひろげられる人形劇…これを三業とよんでいる。
*慶長年間頃に”三業”が結びつく。
(参考)慶長年間(1596年〜1615年)の時代背景
−1598年(慶長3年)豊臣秀吉死去
−1600年(慶長5年)関ケ原の戦い
−1603年(慶長8年)徳川家康征夷大将軍、江戸幕府を開府
−1614年(慶長19年)大阪冬の陣、1615年(慶長20年)大阪夏の陣
Ⅱ 竹本義太夫(1651年〜1714年)の活躍
・1684年(貞享元年1)道頓堀に竹本座を開場
Ⅲ 豊竹座の開場[1703年(元禄16年)]と浄瑠璃黄金期
Ⅳ 近松門左衛門(1653年〜1724年)の活躍
(1)浄瑠璃作者として出発[貞享2年・1685年竹本義太夫のために書いた最初の浄瑠璃「出世景清(しゅっせかげきよ)」、元禄16年・1703年「曽根崎心中」]・・・(2)歌舞伎作品を中心に・・・(3)竹本座の座付け作者に復帰[正徳5年・1715年「国姓爺合戦(こくせんやがっせん)」大ヒット]
Ⅴ 第二黄金期
・「菅原伝授手習鏡](1746年)・「義経千本桜」(1747年)・「仮名手本忠臣蔵」(1748年)…三大名作(合作:並木千柳(宗輔)、三好松洛、竹田小出雲)
Ⅵ 進化の終焉
・近松半二(1725年〜1783年)の活躍
−「本朝廿四孝」「妹背山婦女庭訓」「新版歌祭文」「伊賀越道中双六」
・1765年(元和2年)豊竹座 閉場。 1768年(明和5年)竹本座 閉場。
Ⅶ 文楽座:文楽軒の芝居
・正井(まさい)文楽軒(1751年〜1810年)。二代目文楽軒…1811年(文化8年)大阪博労町稲荷社に人形浄瑠璃の小屋を開場。
・三代目植村文楽軒、三代目竹本長門太夫の活躍
Ⅷ 明治以降〜現在
・明治42年・1909年…松竹、文楽経営に進出
・昭和5年・1930年…四ツ橋文楽座 開場
・昭和38年・1963年…財団法人文楽協会が発足
・昭和59年・1984年…国立文楽劇場(大阪・日本橋)開場
・平成15年・2003年…ユネスコ「世界無形遺産」
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(%ノート%) 浄瑠璃・三味線・人形の結びつき、文楽と歌舞伎の関係、竹本義太夫、近松門左衛門などの活躍、そして、現在の文楽の状況等…300余年にわたる文楽の歴史…について、時折、ユーモアまじえながらの本城先生の講義は、わかりやすく、文楽に興味がわいてくる2時間でした。

☆「文楽を見たことのある人は?」 (本城先生からの質問)
・・・「受講生の7割〜8割の人が手を上げました。さすがに、文楽の地元・大阪です。」

文楽の見どころ・・・
*歌舞伎には門閥があるが、文楽は実力の世界。
*三人遣いの人形が、文楽の華。
*浄瑠璃(義太夫)の語りによってドラマが展開。
*太三味線の響き。
*三業の結びつき。etc.

…次回・6月2日「文楽の楽しみ②」は、国立文楽劇場・文楽応援団による人形の実演です。