NPO法人シニア生活設計サポート結の代表の山口雅子さんのご紹介です。
NPO法人シニア生活設計サポート結の代表の芦屋在住の山口雅子さまをご紹介させ
ていただきます。
下記の二つの記事にとても感銘を受けました。ぜひ私のブログにご紹介したくて、
最初の原稿は山口さんのお人柄がにじみ出ています。神戸新聞の記事は素晴らしく
これからの日本に、例を見ない高齢社会には必要なことだと思います。
山口さんは建築士でいらっしゃいます。8年前にNPOを立ち上げられました。
しくみのある住まいを「集住協働住宅」と名づけて、素晴らしいシステムと思います。
ぜひ丹波ふるさとネットの目的にあっておりますしご指導いただけばと願っています。
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原稿:
あなたは一人じゃない・・・「つながり」から「絆」へ
この春ほど東北に早く春が来てほしいと願い、『故郷』を強く意識した春はなかった。
新聞記事に家を流された東松島市の女性の句『哀(かな)しみを知って笑いを深くする』
が紹介されていました。胸中に抑えた哀しみの深さの前に頭を垂れるばかりです。
人々は震災から様々な宝石を心に留めてきましたが、そのことが「関係存在である人」
や「縁」ということを世に浮上させ「共助の時代」を担う波になりますように願っています。
「あなたは一人じゃない」といった励ましが、世界中から被災地に寄せられていますが、
昨日と変わらない暮らしをしております私たちも大事にしたい言葉です。
一人ひとりのつながりの時間を重ねて「絆」になったとき、この言葉の深さを気づくので
はないでしょうか。
高齢期の住まいの設計に関り「つながり」の必要を感じてNPOを立ち上げ8年。
毎月「お一人さまの交流会」を開催し、「つながり」の苗を育てています。
山口 雅子
メール:ninzin@sannet.ne.jp
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神戸新聞の記事:
建築士として、高齢期の住いに関わって働いてきた。仕事柄多くの高齢者と面談し、
多くの方から「長生きの不安や相談する人がいない」という声を聞いてきた。
そのことがきっかけで、独りの老後時代の住まいと暮らしを支援するNPOを平成15年2
月に設立した。
2005年の国政調査では独り暮らしの世帯は全国で30%とあり、2008年に発表された
「日本の世帯数の将来推計」(国立社会保障・人口問題研究所)では、2030年に50
代、60代の男性も、ほぼ4に1人が単身者になると推計されている。「独りの老後をどう
生きるか」という課題が浮上してきた。NPOにも独り暮らしの行く先不安の相談が数多
く寄せられている。時代は人生50年時代の常識をきっぱり脱ぎ捨て、生活と暮らし方の
変換を要求している。
当事者のみで「独りの老後」問題の解決は困難ではないかと考える。地縁・知縁・志縁
の人たちが「社会家族」を形成し、一つ屋根の下で助け合い、「協同&協働」の考えを
軸としたしくみのある住いで暮らすことで生活と暮らし方の変換を図ることを提案してい
る。しくみのある住まいを「集住協働住宅」と名づけている。
「集住協働住宅」は三者が関わる。第一者は住まいの土地と建物の骨部分を提供する
家主。
第二者は家主から一棟借りし、建物・入居者の管理をするNPO。第三者は共住する人
たち。
入居者は家賃、管理費をNPOに支払う。賃貸であるが共感の住まいづくり参加として、
NPOに建設協力金(内装・設備などの費用)を提供する。数人(5人程度)が寄りかか
らず「自助」の生活が基本。家事を「互助」し合う。NPOはセフティーネット及び調整役と
置づけ「関与・補助」する。
建物自体は三つで構成。一つ目は居室・ミニキッチン・トイレ・シャワー室・水周りなどの
「個」の空間。二つ目は共用利用の台所・食堂・リビング・浴室などの「共」の空間。
三つ目はNPOの「公」の空間で、入居者の社会との接点の場であり、希望者とNPOの
協同による小ビジネスを行う場でもある。
「個」の空間ではそれぞれ自分の価値観での生活ができる。「共」の空間では食事づく
りや共に食卓を囲んでの食事などで協同&協働の暮らしをする。共住による適度な緊
張感、元気な間は自分にあった家事を担うことや、NPOを通じての社会参加の暮らし
は健康寿命延長をもたらすのではないかと考える。また「集住協働住宅」のバリエーシ
ョンとして入居者が壮年・若年期の独りの方、単身親と子供といった複合型もある。
「集住協働住宅」は企業の商品を買うことや行政のあてがいぶちの福祉などの縦感覚
ではなく、身の丈で前向きな気持ちで日々をおくりたいと思う人たちで創る、横感覚の
「共感する仲間による仲間のための仲間たちの住まい」と言える。「集住協働住宅」が
まちに点在すれより安定・安心のネットワークができ、少子高齢社会のまちづくりの一
端を担うのではないかと考える。