5月の中頃に一人の男性がひょっこりお見えになった。
まだ現役のサラリーマン、
でも定年退職を迎えるまでに病気になってしまわれた。

誠に気の毒な、一流企業のエリートサラリーマンが
ある日突然に体の自由を奪われてしまわれたのです。

死の四重奏ではなく、超過酷な労働で神経と脳が侵されたのかもしれない。
体が自然と動き出す、不随運動という表現が適切の様です。
歩くのも、杖で体を支えながらゆっくりゆっくりと歩くしかない、
厄介な病魔に取りつかれた様なんです。

一番最初にらくにお見えになった時は、「体が揺れるので、風呂にも入れない、
体を曲げるのも大変なんで、靴下も簡単に脱だり、履いたり出来ないので
履きっぱなしで寝てます」っておしゃった。

確かに靴下を脱がした時はびっくりした。
でも、それを見て目をそむけたりは出来なかった。
もし、私がこんな目に会ったらどうしよう、耐えられるやろか、
なんとかしてと娘に当たりちらしてたかも知れない。

という思いが脳裏に浮かんだ。
でもその方は立派だった、なんとか入浴介助をしてくれる
事業所探しをしたり、自分でなんとかしようとあちこちと電話をされ、
「やっと中央病院の婦長さんから電話で
こういう方の入浴介助出来ますか」
の問い合わせに出来ますと返事で
翌日お電話を頂きらくの利用が決まった。