日 時 平成23年7月15日(金)
場 所 池田泉州銀行講堂
講 師 大久保恭子氏(関西外国語大学教授)
セザンヌは1839年にパリで生まれ、当初は法律家を目指し
ますが成就せず、途中から画家に転向します。
最初の頃の作品はロマン主義的傾向の絵でしたが、やがて
ピサロの影響を受けて印象派へと脱皮いたします。
印象派は自分の目に映ったものをキャンパスに描いていく
作風でしたが、セザンヌはそれに飽き足らず、これを自分流にアレンジ(構成)していきます。
右の写真は、右下がこれまでの伝統的なシャルダンの絵で、テーブルとその上の彫刻が二等辺三角形を形成していて、落ち着いて見えます。
一方 左上はセザンヌの静物画ですが、これは何とも不思議な構図をしています。
左上の籠に入った果物は上から目線で、隣の瓶は真横から、右上の皿にのったお菓子は斜め上と横からも見ており、またテーブルは目線を下げて厚みを正しく表現しています。
これでお分かりかと思いますが、今までの伝統的な絵は物を描く時一点から見ているのに対して、セザンヌは動き回って多視点から見たものを1枚のキャンパスに描いています。
彼は父からかなりの財産を相続していて絵が売れなくても生活には困らず、このような冒険も出来たのでしょうが、この冒険が20世紀の扉を開け、次世代(マチス等)へ引き継がれていくことになるのです。