アウトリーチ(訪問支援)にたいしての誤解

◇◆先ず訪問支援ありきではなく
 あくまで最後の手段として考える
◆◇

今週の火曜日(19日)の夜、神戸でアウトリーチ支援事業を
長年されてきた支援者の方の講座を受けてきました。
目からウロコが落ちる講義でした。
どうやら、松尾はアウトリーチに関して、誤まった捉え方を
していたようです。

今まで、アウトリーチ(訪問支援)は、すばらしいもので
そこから支援を始めるなんて、本当にすごいことであり、
また、それはとても良い支援なのだ、と捉えてきました。
そして、19日にアウトリーチを実際にされてきた支援者の方の
講義を受けて、「いや、その考え方は違うんだぞ」と痛感しました。

先ず、アウトリーチありきではないのですね。
アウトリーチこそ、究極の支援方法のように思える。
でもちがうのです。最初から、その支援スタイルを
取ろうとするのではなく、
あくまで、電話・面談等で、親御さんと十分に話し合ったうえでの
支援方法なのですね。

親御さんとしては、うちの息子(もしくは娘)に早く訪問支援を
してもらいたいという思いもあるかと思います。
ですが、ひきこもり支援というものは、支援者に丸投げされるものではない。
あくまで、親御さんと共に歩んでいくもの。救いの神はいないのですね。
「重度の家庭内暴力がある、長年ひきこもってきた青年をすぐに回復させる」
そんな神業は支援者にはできないのです。

料金を払うのだから、それを行うのは当然なのでは…?
という親御さんのご意見も最もだと思います。
ですが、親御さんと二人三脚でいかなければ、
支援は困難すぎるものになる、という考え方はないでしょうか…?

けっきょく、支援者も人間です。傷つくし、悩み苦しむ。
丸投げされたのでは、精神的に持たないということ
そして、やはり子どもにとって、最も重要なパーソンは
家族であり、親だということ。

子どもからの暴力等で、困り、疲れ果てている親御さんも
いらっしゃるかと思います。でも、その親御さんは
すぐにアウトリーチではなく、違う段階方法も探ってみるという選択。
親御さんだけが、支援者に相談する、医療にかかってみる、
保健センターであったり、警察であったりするかもしれない。

避難予告・勧告をしたうえで避難するという方法・対策、ですが、
本人を見捨てるのではなく、あくまで仕方がないということ。
子どもからの暴力がひどいケースはですね。
予告しても、暴力を振るわれ続ける場合はですね。

そして、避難したから終わってしまった…、ではなく、
そこからこそ、子どもの暴力・ひきこもり等に向かい、
共に歩んでいくということです。
(この「避難」という対策については、精神科医の斎藤環さんが
 著書である「ひきこもり救出マニュアル」PHP研究所 で、
 斎藤さんの長年による臨床経験に基づき、
 方法論を述べられていますね。)

きつい言い方、厳しい見方なのかもしれませんね。
ですが、ご家族、ご本人、そして支援者を守る方法を考えた上で、
(支援者側は)訪問支援という手段を考えなくてはならないのですね。

これからも、いろいろな方法論理を吸収し、咀嚼し、
不登校・ひきこもり支援について考えていけたらと思います◎