細分化される支援者の役目

◇◆アメリカンフットボールのチーム編成を
 思い浮かべてもらえると良いかと思います
◆◇

以前、こんな話を聞いたことがあります。
良いチームというものは、指導者側(コーチ陣)に
優れた指揮官、プレイヤーを育てるのがうまい人、
そして指揮力も指導力もあまりないかもしれないが、
チームの和をとる=ムードメイクをするのがうまい人

と、それぞれの実力を持ったコーチ陣がいる、と、
そんなチームはスポーツチームであれ、アートチームであれ、
研究チームであれ、優れたチームであると。

まあ、日本人で言えば、
プロ野球チームに例えればよいのでしょうか…。
なんとなく強いなあと思えるチーム、
それはただ単に良い成績を収めているだけではなく、
短期決戦でも強さを発揮し、首位天王山でも必ず勝ち越し、
ここ一番での絶対的な強さを持つチームってありますよね。

その強い野球チームって、コーチ陣、選手間のバランスが良く取れている
ホントによくまとまっているなあと素人目にもうなずかせる、
たとえば、20年前の西武ライオンズというチームがまさにそうでした。

ちょっと昔の話になるのですが、
良いベテラン選手が自ら元気出してプレイする、
(東尾投手、石毛選手等)。
中堅選手も若手とじゃれたり、年上っぽく振舞ったり
けっして、厭味ったらしくではなくです、
(伊東捕手、辻選手、秋山選手、阿部選手等)。
そして若手選手はハッスルするし、あまえるし、
生意気っぽく振舞うのだけれど、年上選手がしっかりとしているから、
道は踏み外さないで練習し、プレイもする
(工藤投手、渡辺投手、潮崎投手、清原選手等です)。

まあ、人間のすることなので、順風満帆ではなく、
上手くいかない時期もあるのですが、
20年前の西武ライオンズは、近年まれに見るほどの
よくまとまった強いチームだったと思います。

ここで冒頭の見出し文に戻りますね。
支援者も個々の特性に合わせ、
それぞれの得意分野で援助をしていけば
良いチーム作業が行えるのでは…というのが
松尾の個人的意見です。

それはどこでもやってるよ、と、ご意見頂きそうですが、
もっと細分化するというか、一概に資格だけで
業務内容を決めていかないというか…、

たとえば、今年度から本格的に始まった『パーソナル・サポート事業』。
あの湯浅誠さんが推奨してきた援助理論(スタイル)であり、
昨年度からも全国数都市で始まっていましたが、
今年度から本格的に
全国の各都市で(モデル事業として)開始しています。

松尾は豊中市の若者支援機関で働いていて、
その支援機関は、
『豊中市パーソナル・サポートセンター(以下豊中市PS)』とも
関わりがあるので、ときどき、豊中市PSに出向くことがあります。
豊中市PSは兵ぞろいのスタッフ陣で、
各資格を持つスタッフたち(専門家)集団です。

これが細分化された支援者集団なのだろうなあ、と
素直に思います。ですが、それは予算があるチームです。
ほとんどの若者支援団体は、零細企業ではないでしょうか…?

「では、そのPSなんとかみたいに、各若者支援団体にも
予算をつければいいわけ?」
そんな簡単な話ではないと思いますが、
少なくとも予算があれば、有資格・有実績のスタッフを
それなりの待遇で雇うことができますよね。

学歴も資格ですし、各福祉士も資格です。
どこで何をしてきたというのも、大事な実績(要素)です。
そこで判断されるのは、当然だと思います。
そう考えれば、『0(ゼロ)からのスタート』も出来ますし、
各支援者もステップアップできますよね。

今までの日本では、不登校支援や若者支援を、
仕事として捉えるのは、何か欲張っているというか(いやしい?)、
そう見られてしまう向きも多少はあったのでしょうか…。
ですが、支援者にも生活があり、
お金がなくては生活が成り立ちません。
そして、きちんとした生活がなければ、
良いコンディションでサポートができません。

強いプロチームに在籍する選手やコーチは、
それなりの待遇でむかえられ、
プレイなりコーチ業を仕事:生業として業務しています。
まあ、イチローや松井秀喜は置いておいて、
日本のプロ野球の一軍(レギュラー)でプレイする選手が
それなりの高給を取っていても
誰も文句は言わないのではないでしょうか。

だからといって、「若者支援事業」をビジネスライク化すべきだと
言っているのではなく、高給を用意すべきだとか、そうではなく
かといって、最低賃金を保障すればいいという意見でもなく、
要はバランス良く、という意味なんですね。

何事もバランス良くという考え方。
若者支援チームにもバランスが必要ですよね。
求人を取ってくる(営業職)、人材マッチング、社会福祉知識、
精神系の福祉や臨床の知識、カウンセリング、広報他いろいろと…。

ところで、
松尾は4年前に、尼崎市の「ほっと・HOT」という
親と子どものための居場所活動から、
不登校・ひきこもり支援活動をスタートさせました。

この履歴ですが、経験値になっています。
もともと不登校・ひきこもり出身なので、経験になぞって知識を入れて
自分なりの考え方をまとめています。

資格は知識であり、経験は糧になります。
このふたつを持つ支援者は優れた援助を行えるかと思います。
何かが欠ける時があるとしたら、コンディションが悪い時でしょうか…。
家庭内(個人)の問題だから、ではなく、
その問題が給与にまつわる事柄ならば、
事業所は何かしら手段を講じなければならないでしょう。
そうしなければ、仕事として生活の基盤としての
「若者支援という生業」が成り立たなくなりますね。

松尾は豊中市PS(だけ)を見てきたので、
たとえば、「淡路プラッツ」や「ニュースタート関西」等
老舗的若者支援機関を見ていません。
豊中市PS以外の支援事業所でも、
とてもシステムバランスの良い団体が多くあるのかもしれませんね。

どこを目指すとか憧れだけでの支援業ではありませんが、
スキルアップし、ステップアップするという向上心は
若者支援従事者にだって(こそ)必要かと思います。

「各個々人が個々人をサポートしていく」

「各個々人の得意分野で、若者たち(家族を含め)をサポートしていく」

それぞれの得意分野を持ち寄れば、すばらしいサポートチームが
出来あがるのだと思うのですね◎

≪右上の写真は、「若者居場所工房ぐーてん」事業所内での
庄内祭りの準備作業のひとコマです。
お祭りに向け、みんなであーでもないこーでもないと
いろいろとアイディアを出し合い、準備作業をしました。
小さな規模かもしれませんが、
それぞれが役目を持っていたと思います(^v^)≫