あす、雨になればいいのに ・・・ 運動会 ><:;

その日の彼女のブログのタイトルは「誰かスムーズに登校できる方法教えて!」だった。
中2の終わりからフリースクールにきはじめて8ヶ月、明るく前向きになって、女の子が
あまり参加しない作業やイベントにも参加していた。夏休みも終わりに近づいたとき、母親から「もう中3だし、そろそろ学校へもどらないと進路が心配」とささやかれた言葉が、心に貼りついた。
「どうしよう?」2学期の直前、彼女は迷いに迷っていたが、ついに学校復帰した。丁度1年ぶりだ。しかも相談室ではなく、みんながいる教室に出席したのだ。「あれ、だれ?」と無神経な男の子たちの声を無視して、じっと教室の後ろ側の自分の席に座っていた。

このへんの彼女の心理状態は、不登校を経験した子でないとわかりにくい。とくにスムーズに上がってきた若い教師には理解がむずかしい。「これるじゃないか、じゃあ明日な!」と教師から掛けられた声を尻目に、脱兎のごとく教室をぬけだした。

そして、9月17日土曜日は体育大会だ。彼女はブログに「あす、雨になればいいのに」
と書き込んでいた。前日、例の男の子たちから「勝手に休むと、迷惑なんだよな」と言われたことがブログに綴ってある。むかしだったらきっと、泣いて休んだと思う。でも明日は行きます。雨なら勉強道具も持って・・・ という言葉でブログは終わっている。

 そんなに命がけで行くほどのことはないよ、と「行かない」と彼女が決めてたら、僕は言ったかもしれないが、彼女は自分が強くなっていることを確認したかったのだろう。「そっか、じゃあ体育大会、楽しんできてください。」とエールを送った。 (つづく)

 (写真は、フリースクールの畑を包み込んだ西表朝顔です。)