設計家ライト氏と山邑邸

日 時 平成23年10月15日(土)
場 所 ヨドコウ迎賓館
講 師 川窪広明氏(大手前大学教授)
 芦屋にある旧山邑邸(現・ヨドコウ迎賓館)におきまして、
同建築物を見学しながら設計家のフランク・ロイド・ライト氏
の略歴や建築理念につきまして解説をしていただきました。
 ライト氏は、1867年にアメリカで生まれ、1906年に行った
ロビー邸(「プレイリー・スタイル」と呼ばれる平らに貼り付けた
ような住宅スタイル)の設計により、一躍名声を得ましたが、その後チェニー夫人というクライアントの奥さんと不倫事件を起こして、瞬時に名声を失います。
 悲劇のどん底にあったライト氏に旧友から東京・帝国ホテルの設計依頼が持ちこまれ、来日いたします。
 この時に灘の酒造家・山邑氏から別邸建築の話しがあって受託したのが今日のヨドコウ迎賓館で、ライト氏設計の住宅として唯一残存しているもので、重要文化財に指定されています。
 ライト氏の建築理念は、周囲と調和した暮らしやすさに重点を置いた「有機的建築」で、アプローチ他の大谷石や車寄せから見える神戸港の景観等がこれを如実に現しています。
 これは産業革命以降、ともすれば自然の破壊や人間性の欠如等を憂い、自然環境との融合や豊かな人間性を追求してきたことによるものと思われます。