後期ルネサンスとヴェネチア派

日 時 平成23年11月18日(金)
場 所 宝塚西公民館
講 師 辻 弘氏(兵庫教育大学名誉教授)
 ルネサンスは、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロらの
活躍によりフィレンツェで花開きましたが、これがアドリア海
の女王・ヴェネチアへと飛び火いたしました。
 15世紀末ともなれば、スペイン等により新しい外洋航路
が発見され、貿易で巨万の富を得ていたヴェネチアも斜陽
となりますが、ただ美術の世界においては優れた芸術家を輩出させています。
 建築物では、東方のビザンチン様式・北方のゴシック様式も加わって人間主義の種が芽生えます。
 すなわち、サン・マルコ大聖堂やドウカーレ宮殿等はビザンチン様式、ゴシック様式、ルネサンス様式と改造されていますが、元々のビザンチン様式は伝承されています。
 また絵画では、ベッリーニ・ヴェネツィアーノ・ジョルジョーネ・ティツァーノ・カルバッチョ達が形態の構成を重んずるフィレンツェ派とは趣を異にし、ビザンチン以来のモザイク画の伝統である光の明暗と色彩効果に重要性を持たせています。
 そして形すなわち輪郭を描く線を微妙にぼかせて、全体の雰囲気を重んじております。
 もっともミケランジェロに言わせれば、「ヴェネチア人は色彩偏重で線的描写に欠けている。」と非難をしていますが・・・・・。