日 時 平成23年11月26日(土)
場 所 大手前大学
講 師 石川達夫氏(神戸大学教授)
大国とはロシア、小国とはチェコのことで、この両国は同じ
スラヴ圏にあり、前者は東端に位置して宗教は正教、後者
は西端に位置して宗教はカトリックです。
両国の作家を代表してドストエフスキー(ロシア)とチャペ
ック(チェコ)のお話しをしていただきました。
ドストエフスキーの「罪と罰」はペテルブルグが舞台で、主人公はラスコーリニコフ(元大学生)です。
彼は将来を嘱望されてペテルブルグ大学・法学部で学んでいましたが、父が死去したことで学費も払えなくなり、下宿でゴロゴロした日々を過ごしていました。
ある時 高利貸しの老婆を殺してお金を奪ってしまいますが、この時の概念は「世の中に有害な人間を殺しても、その時に奪ったお金で社会に役立つことをすれば許される。」と思い込みます。
この考えはボナパルトニズム(戦争で多くの人を殺しても、勝てば英雄視される。)にも似かよっており、ドストエフスキー自身もこのいち理ありそうな理論で革命思想を持っていた節があります。
一方 チャペックはドストエフスキーのような極端な考えではなく、多視点性・多面性・多様性を持ちあわせ、「母」においては母親の立場からは息子を戦場へ行かせたくないが、国家のためにこれを許してしまうという作品を書いています。 ドストエフスキーはハリねずみ族でチャペックは狐族に分類されるそうです。