マニエリスムとバロック美術

日 時 平成23年12月9日(金)
場 所 宝塚西公民館
講 師 辻 弘氏(兵庫教育大学名誉教授)
 ルネサンスが終焉しますとバロック時代に入りますが、実は
その間(約80年間)はマニエリスムという時代が存在しました。
 マニエリスムとは、イタリア語のマニエラ(様式・手法)からき
た言葉で、ヴァザーリ(ミケランジェロの弟子)はその意味を
「自然を凌駕する高度な芸術的手法」と言っております。
 代表作としましては、絵画ではチイントレットの「最後の晩餐」やヴェロネーゼの「レヴィ家のキリスト」等が、また彫刻ではボローニャの「サビーニの略奪」等があります。
 その次のバロックになりますと、光と影をはっきりと描くという特徴が出てきます。
 バロックとは「歪んだ真珠」というポルトガル語で、「不規則で、歪んだ奇経なもの」との説があります。
 この時代の代表としましては、やはり異色の画家・カラヴァジオでしょう。
 彼はミラノ近郊に生まれ22才でローマに出てきますが、貧困生活を余儀なくされて社会の裏での生活を描き続けます。
 やがてデル・モンテなるパトロンに見い出されますが、それもつかの間で警察沙汰を起こしてナポリ経由マルタ島まで逃げ延びたという経歴の画家です。
 伝統から新しいものへ進んでいく様式は、その後ルーベンスやレンブラント等へ継承されていきます。