『エンパワメント』って本当はナニ?

最近、流行言葉のように聞かれる言葉『エンパワメント』

日本語で適切な訳語がないこの言葉は、1970年代のアメリカで生まれた。
もともとは、障害者のソーシャルワークの手法や考え方として登場した。
主には「もともと備わっているにもかかわらず、社会的に抑圧されている力を引き出し、
開花させること」という意味で用いられていたが、定義については一致していない。

日本では、「もともと持っているその人の潜在している力を蘇らせること」という意味で、
女性の性被害を中心とする被害者へのケアとサポートの中で、
この言葉は定着している。

では、具体的にはどんなことを指すのだろうか?

先日、ある会議でこの言葉が頻繁に飛び出した。
しかし、誰も『エンパワメント』の中身を言わない。
例えば「被害者をエンパワメントしていく」という場合、『エンパワメント』とは
どういう状態を表し、被害者がどういう状態になった時『エンパワメント』できた、
となるのであろうか?

会が引けて、食事会になった時に、この言葉の意味をみなさんどう捉えているのか、
尋ねてみた。
どなたも答えられない。
「そう言えばそうやなぁ」

『エンパワメント』という言葉は、不思議と心地いい響きがある。
この言葉のもつ、不思議な魅力に、なんとなく分かったような気になって、
本質のところで『エンパワメント』を理解できていない場合がほとんどではなかろうか。

エラソウなことを言う私も、面倒になると、ついこの言葉に頼ってしまいがち。
そうすると、相手もなんとなく分かった気になってくれるので、とても便利。
この言葉を取り払って、別の言葉で『エンパワメント』を表現できた時、
外来語のこの言葉が、本当の意味で日本に定着してゆくのではないかと思う。