子ども達に対して、性犯罪から身を守るために「不審者には気をつけましょう」という注意を
よく見聞きします。
ところが、具体的にどんな人を『不審者』『怪しげな人』と言うのかの説明を受けたことは
あまりないと思います。
裏を返せば、「こんな人」とはっきり言える材料がないとも言えます。

報道でも、社会的な立場の高い人や有名大学の学生が起こした事件がありました。
見た目、職業、知的レベル、性別で『不審者』か否かを判別することはできません。
加害行為をする人は、どこにでもいるような、目立たない格好をしていることがほとんどです。
よく防犯教室などで、黒いサングラスに帽子、頭に風呂敷を被った人を犯人に仕立てて、
寸劇などをしていますが、銀行やコンビニ強盗ならともかく、いわゆる性犯罪を行う人に
そんな格好の人はいません。

このステレオタイプの『不審者』像が、防犯の妨げになっていることがあります。
そんなマンガチックなタイプを想定している限り、不審者はその姿を現してはくれません。
目の前にいたとしても、見逃してしまっているかもしれないのです。
実際には、子どもを狙う性犯罪者は、子どもとコミュニケーションをとるのがとても上手です。
子ども達が楽しそうに遊んでいる輪の中に、その人は紛れているかもしれないのです。