地元中学に進学すれば、RとHは一緒に進学するはずでした。
Hはてっきり同じ中学に進学できるものと信じていました。
ところが、Rは父の方針で、家から新幹線で3時間かかる遠く離れた中学校を受験したのでした。
「自分は厄介者だから捨てられるんだ」とつぶやいたR。
Rの母は、女の子らしくないRにてこずり、悩んでいました。
そんな母を安心させるために「出て行く」のだと、無表情でYに話すR。
それが家族みんなのためなのだと・・・
Rは家から新幹線で3時間かかる中学校に見事合格し、そして桜の季節、
12才のRは、たった一人で旅立って行ったのでした。。。
卒業式。ワンピースを着せられ、ずっとうつむいたまま、Hの母Yが「R」と声をかけても、
振り向きもしなかったR。
それがH、YとRの最後の時間となりました。
Yの胸には、空手の技を決めるカッコイイRがイキイキと蘇ってきます。
いつかまた、Rの元気な笑顔に会いたい。
Yは「その日」のために、自分にできることをしよう、そう心に決めたのでした。
(つづく)