子育て生活応援団(石川県金沢市) vol.2

前述の記事でも書いたが、子育て生活応援団では、駅ビルの一角にある「こどもらんど」の他に、金沢市21世紀美術館では保育ルーム、教育プラザ富樫では子育て広場を運営している。
 21世紀美術館は平成16年10月に開館したガラス張りの開放的な美しい建物で、『まちに開かれた公園のような美術館』というコンセプトを持っている。ホームページでは、館の特色を
①世界の「現在(いま)」とともに生きる美術館
②まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館
③地域の伝統を未来につなげ、世界に開く美術館
④子どもたちとともに、成長する美術館
と、表現している。

この施設には、美術館や博物館としてはまだまだ珍しい、常設の保育ルームが設けられており、ここの運営を子育て生活応援団が行っている。保育ルームも、ガラス張りの美しい部屋で、子どもたちにとっても外の景色が見えることで、好奇心を触発され、場合によってはあまり嬉しくない時間も、楽しく過ごしている様子である。
 ここで、この保育ルームの価値は、この美術館を訪れる方以外も利用できることにある。もちろん一義的には美術館を訪れる方へのサービスであるが、予約で満員になっている以外のケースでは、美術館には関係ない、街の中心地を訪れる人も利用できるようになっている。
 これは、運営をしている子育て生活応援団からの提案だったそうだが、「子育てに優しい街」という観点からは、非常に価値があると考えられる。公共の施設ごとに、すべて保育ルームを設けることは困難だが、こうした工夫で、「すべての施設にはなくても、すべての地域にはある」ということが可能になってくると考えられるからだ。
 こうした子育ての当事者、もしくはその周辺の方たちからの提案ということは、これからの地域コミュニティにとって、とても大切なことだと改めて実感した。

教育プラザ富樫は、社会全体で子どもを育むため地域リーダーの養成、活動拠点となる施設である。個人やサークルで利用できる広場や活動室のほか、ファミリーサポートセンターや、幼稚園・保育所・小学校・中学校の保育職員や教職員の資質向上を図る研修施設などがある。
 ここの子育て広場などの運営も子育て生活応援団が委託を受けて行っている。さまざまな世代の人が来るために、スタッフにとってもよき勉強の機会ともなっているそうだ。
 この施設をさまざまな子ども関連の団体が利用しているために、自然と顔をあわせる機会も多くなり、こうした団体の交流の場ともなっているそうである。現在では、各団体の資金を捻出することを目的としたバザーなども自主運営しているそうだ。
 最近、中高生でも、乳幼児と親についても「居場所」の重要性が言われているが、こうした団体にも「居場所」を作ることが必要であり、有効であると考える。