◇市民労働って、実際にはどういうこと?◇

硬い言葉で説明されても「要するに、何???」
…と、なんだかピンとこない気がします。Beckは、純粋理論的な話で
なく、現実的な「政策モデル」として、この市民労働を提案しています。

Beckは、「公共福祉・企業家」が自発的参加者を組織し、「市民労働の
ための地域委員会」がその活動を審査・評価する、としています。

▲「公共福祉・企業家」とは? 〜マザーテレサ+ビルゲイツ

 公共福祉・企業家は、この二人を合わせた社会的性格の持ち主。
「社会的奉仕」の性格を持ち、人々に語りかけ、指導します。
ネットワークや社会資本を作り出して利用することに長けている専門家。
それだけではなく同時に、「企業家」としての性格を持ち合わせ、未充足の
欲求や未解決の課題を発見し、その充足や解決のために未使用の諸資源
を動員する能力を持っています。

▲「市民労働のための地域委員会」

「市民労働のために地域委員会」が、市民労働の活動を審査・評価
します。委員会は、市町村参事の代表者、自発的志願者の代表者、
あるいは企業の代表者などによって構成されます。

▲市民労働に対する報酬

 市民労働に対して、賃金は支払われません。ただし、それに参加
する者は有形、無形の報償を得るとされます。
それは生活保護金・失業保険金などの市民給付金、年金請求権であり、
また(失業者や就業前の若者に対しては)職業能力の獲得があります。

※近年、ドイツのバイエルン州とザクセン州において、実際に
期間限定で市民労働のプロジェクトが試みられました。(つづく)