■「市民労働」という政策モデルの課題

 最後に、Beckの提案する「市民労働」モデルに関して、
伊藤氏がいくつかの課題点を指摘しています。それは

・あらゆる者が「自発的」に市民労働に参加することは考えにくい。
・市民労働に参加する者は、中間層に偏ってしまうだろう。
・法的に定められた基礎融資によって,市民労働の自立性が実際
 どれだけ確保できるのか?

…上のような、いくつか考えなければならない問題もある
ようですし、日本にあてはめて考えると、実際どうなるんだろう?
という疑問も湧いてきます。
ですが、基本的な概念としての「市民労働」というこの考え方、
多様な働き方が言われている今日、「労働」って何だろうと
原点に戻って考える時に、大事な視点を投げかけてくれていると
思います。 

(おわり)