小学校図工は教師にとって大変?

中平です。昨日、教育課程研究協議会・図工美術事前打合会が、千曲市の小学校を会場に行われ、図工美術運営委員の私も参加させていただきました。
毎年各校持ち回りで、図工美術も研究授業が行われています。この教育課程研究協議会は、文部科学省のいわゆる直属の研究会であり、指導者として教育事務所の主事先生をお招きし、これからの図工美術の方向や問題点を文部科学省の考えもまじえながら話し合います。秋頃行われる本番に向けての、主事先生を交えての授業の方向を考える打合会です。
この話し合いで私が感じた事は、「小学校の図工って、大変だなあ。小学校の先生やる気なくさなければいいけどなあ」ということでした。研究授業事前授業は1年生の造形遊びだそうです。造形遊びとは、造形的表現の基礎的な要素を、遊びながら育てていこうとする領域で、目的や目標をあらかじめ決めてから活動するのではなく、作りながら目標が決まり結果を重視しない特徴があります。この造形遊びを小学校1年生で行う予定なのですが、どんな素材を、どう扱って、何を学ばせるのか、現場の先生方は大いに迷っているようなのです。
それも無理もない話だと思います。全く美術の専門ではない先生(長野県では、図工専科がなく、一校に図工美術専門の教師が一人もいない学校がほとんど)が、一見現代美術的表現を理解するのは難しいと思います。中心素材を並べる、積み上げるといった行為を美術表現として許容すること自体至難の業であるところへ持ってきて、美術的な用語などで説明しても理解は難しいでしょう。
しかも、小学生低学年ですから、技能的体力的に出来ることはおのずと制限されています。限定されている中で、しかも美術のコアな活動を凝縮したような活動ですから、先生方が図工が嫌いになってしまうんじゃないかな?と危機感を感じました。苦手と思っている先生ほど、まじめに考えすぎて難しい教材や題材に手を出してしまい、苦労されている姿がありました。なんとかもっと楽しくできるのはどうしたらいいのか、私も悩んでしまいました。
写真は、平成16年度長野県信濃美術館にて行われた「屋根裏美術館講座」での小学校低学年児童の作品の様子です。ここに集まった児童はかなり抽象的な表現を理解し、楽しみながら活動していました。