レイプとは、国語辞典では「『強姦』の意味と同じ」とあります。
強姦(詳しい法律の説明はこちら)とは、
刑法では、女性の膣に男性ペニスが「暴行又は脅迫用いて」挿入されることを言います。

ところが、女性の性暴力の相談機関では、
レイプを強制わいせつ(詳しくはこちら)も含めた意味合いで使います。
この場合、「レイプ」は男性の被害者にも使われます。
*刑法では、「強姦」は女性にのみ適用されます。

また、性暴力の相談機関や女性問題を扱う団体では、
「レイプ」は、合意なきセックス全部を示します。

ところが、刑法では、「レイプ」すなわち「強姦」は、“暴行又は脅迫を用いて”
前提条件がついています。
これによって、女性が「レイプに遭いました」と被害を訴えても、
法律的(警察、検察、裁判所)には、「強姦」とは認められないことが、往々にしてあります。

また、同じ法律でも、民事裁判と刑事裁判では、その解釈に微妙に違いがあります。

この言葉の持つ意味の違いが、被害者を翻弄させています。
被害者があるところでは被害を認められても、
あるところでは被害として認定されない、ということが起こります。
そして、ある場面ではきっちりと話を聞いてもらえても、
ある場面では非難される、ということもあります。

私は、「あなたが望んでいない性行為は、セックスではなく、暴力」と話しています。
あまり難しい単語は使いません。
でも、法的措置をとる場合は違います。
「強姦」なのか「強制わいせつ」なのか、見極めなければなりません。
相手との関係性によって、事実が変わるということも、現実としてあります。

「レイプ」の言葉のもつ意味は、それだけ、多様で複雑なのです。
しかし、その人が望まない性的接触は、暴力であることだけは確かです。
大切なのは、「レイプ」かどうかという他者による判断ではなく、
行為をされた人が、その行為をどう受け止めているか、なのです。