「性暴力」の解釈の違いが生む悲劇

『レイプの言葉の意味』でも書きましたが、
「性暴力」は、対応する機関によってその意味が、微妙に違いがあります。

被害者の支援機関、性暴力の被害予防活動機関では、
「望まない性的接触は性暴力」としています。

ところが、法律ではどうなっているかというと。
「強姦罪」「強制わいせつ罪」(『性暴力の関連法律』を参照ください)は、
「暴行又は脅迫を用いて」という前提条件がついていますから、
明らかな抵抗を行わなければ、あるいは、脅迫されなければ、
「強姦」「強制わいせつ」には該当しないのです。

しかし、「身も心も凍りついたので、抵抗することすらできなかった」という状況は
性暴力の被害時にはつきものと言っていいくらい、よくあることですね。
最近では被害者に起こる心理的反応について、随分理解がすすんできました。
これも、たくさんの被害者の声によって変わってきたことですし、
また被害者の訴えに耳を傾けてきた法律関係者の尽力の賜物です。

それでも、理解を得られない被害者がまだまだたくさんいらっしゃいますし、
ひどい場合は、被害者の狂言となったり、被害者が落ち度を責められ非難され、
「セカンドレイプ」と言われる状況に追い込まれることも少なくありません。

法律にはもうひとつ壁があります。
「立証」と言われるものです。
「私が話していること」の「立証」=「証拠の提示」ができなければ、
いくら被害者が真実を語ったところで、「真実」の認定はされません。

これらの性暴力の解釈と立証の2つの面から、
被害者が被害者と認定されないことが少なくないのです。
これが被害者に「悲劇」が起こる所以です。

「同意していないのにセックスされた場合はレイプになる」というのは、
被害者にとっては当然の理論なのですが、
法律的な解釈とは大きく差異があることを私達は知っておかなければならないでしょう。

そうは言っても、警察、弁護士、そして裁判所も、被害者に対する理解の歩幅を
大きくしてきていますから、
その溝は、徐々に埋まりつつあるのを実感していますし、
kiralaのような団体がその溝に橋をわたす役割をしていかないといけないなぁと
あらためて襟を正す思いです。

「セカンドレイプ」でお困りの方はご相談ください。