通い湯治10か月番外編「塩竈、アートの縁・アートの力 その1」

町を歩いていると世界一スローな乗り物「トライク」を発見。しかしここは東鳴子ではなく、宮城県を代表する港町であるとともに門前町・塩竈。すっかり町になじんでいるトライクは、東鳴子から寄贈されたものだそうです。
今日はこの東鳴子と浅からぬ縁のある塩竈へアートの縁でやってきました。
まずは松島湾に浮かぶ塩竈市の島・桂島へ。ここで今日まで開催の「アート・ウィーク・オブ・ウラト」を見学しようと塩竈マリンゲートから市営水上バスに乗って約30分。着きました。まぎれもなく島です。

まずはビーチを見てから、と思い砂浜へ行くと、なんと今まさに地引網をみなさんで引いているところでした。地引網体験か何かのようです。このライブ感、一体感、アートにいかしたいものです。
アート展会場である旧浦戸第二小学校へ。廃校になったこの学校は、今もコミュニティセンターのような場として活用されているとのこと。廃校になった年は生徒数6人だったそうです。今は隣島へ船で通っているようです。
しかし、先日訪れた越後妻有アートトリエンナーレもそうですが、こうした場所へアート展を見に行く体験というのは、アート自体にももちろん興味はあるわけですが、たとえば、ゆるゆるとつづく坂道をのぼりながら、島の暮らしをながめたり、車の走らない島の静けさにはっとしたり、その地の生活を体験しに来ているところが大きいように思います。きっかけはアートかもしれませんが、もしそれが見られなくても来てよかったとか、あるいは極端な話、アートはまったく記憶にないけれど、ゆっくりできた、みたいな気分にさせられたら、もうかなり成功なんじゃないだろうか、と思ったり。

しかし会場の旧浦戸第二小学校はすばらしいところでした。着くと塩竈公民館・ふれあいエスプ塩竈の館長はじめスタッフの方々が後片付けに来ていて、いろいろ案内していただきました。昨日は体育館で「島ライブ」も行われたとのこと(残念ながら「島ライブ」は今年でいちおうファイナル)。
私が見終わると片づけが始まりました。

写真は2階の教室。窓からは海が見え、床はさまざまな青の同系色のタイルであざやかです。そして何より青く塗られた校内の木の窓枠の美しいこと。
小学校に着いたあたりからじょじょに厚い梅雨の雲は切れ始め、あっという間に島は夏色になっていきます。

塩竈にこの5月にオープンしたアート・スペース「ビルド・フルーガス」。「GOTEN GOTEN 2006 アート湯治祭」の7月の企画「アートin湯治(AIT)」に参加したアーティスト越後しのさんの個展がここで行われているということで、島から陸へあがると「ふれあいエスプ塩竈」の渡辺館長に連れられてお邪魔しました。
なんともすばらしい空間で、近年着々と整っていく塩竈のアート環境には驚かされます。運営している高田さんは自身アーティストであり、このスペースもギャラリーではなく、アーティストをリンクしていく「作品」として考えているとのことでした。(つづく)

(コメント:門脇篤