テーマ「思春期の心と体」
講師・植田宏樹先生
(秋川病院副院長・精神科医・あきる野市立小中学校医)
私達は日頃から臨床心理士にお会いすることはあっても
精神科医にはあまり身近なイメージがありませんが
先生のお話は非常に貴重な経験でした
チベットの仏具やロシアのペトリューシカ(人形)
脳の見本など次々に小道具を使って
思春期の脳の発達過程などをわかり易くお話されました
人間は順序どおりに順調に発達することは少なく
挫折したときに過去のつまずきや不足部分を取り戻すために
赤ちゃんがえりや子どもがえりをすること
そんな風にバランスを取ろうとする力が本来備わっていること
人間が発達するときはつらいことを乗り越えたときであること
思春期は子どもが悩むのを親は我慢して黙っている時期であること
思春期には脳の神経細胞が一過性に発達したり低下したりを繰り返し
大きな変化が生じているので非常に不安定になりやすく
感情の機能処理がうまく働かず逆ギレすることもあることなどです
参加された保護者の皆さん全員から質問があり
先生は丁寧に答えてくださいました
また、お互いの悩みや苦労をうなづきながら聞きあいました
ただ、1人1人の家庭が抱える問題は非常に重くて
とても個人の力で解決できるようなものではありません
またこの講演会に来たくても子どもを置いては
出られない仲間がたくさんいるという話もありました
例えば犯罪被害者や薬害や公害などの被害者なども
声を上げ救済される方向にあります
また障害者や高齢者を抱える家庭にも
ヘルプがされるようになって来ましたが
加害者も因果関係も明らかにできない
不登校の子どもを抱える家庭には
何のヘルプもケアもされない現状です
不登校というと教育や子育ての問題と考えられがちですが
心や命、家庭そのものを崩壊しかねない点では
福祉の貧困であり深刻な人権侵害ではないでしょうか