映画「紙屋悦子の青春」

黒木和雄監督遺作で
戦争レクイエム3部作の最終章である

最初と最後の老夫婦のシーンでの
永瀬正敏の老け役はさすがでした

第2次大戦の敗戦間近
鹿児島の1軒の家を舞台に
激しい戦闘シーンも日の丸も君が代もなく
厳しい状況の中でも若者は恋をし
夫婦は口げんかもする
ささやかな日常の生活が淡々と描かれる

ただ会話の中に父母が東京大空襲で死んだことや
愛する人が海軍特攻隊に志願して死んだことなどが
表現されている

見るものはその言葉や行間に想像力を働かせて
さまざまなことに思いをめぐらせる
最近の強烈なインパクトや過剰な説明的な映画に
慣れきっている現代人には
どこまで読み取れるのか試されているような気がした

原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本上まなみなど
今をときめく若手俳優が出演しているが
彼らのファンはこの映画を見るのだろうか

私を含めて50代以上の観客が多かったが
これは青春の映画で若者へのメッセージであり
若い人たちにこそ見てほしいと思った