経営の神様・・・鳥井駒吉と藤本荘太郎

(%緑点%) 後期講座(歴史コース)(9月〜1月:全15回講義)の第15回講義の報告です。
・日時:1月31日(火) am10時〜12時
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題: 「経営の神様・鳥井駒吉と藤本荘太郎」
・講師: 桧本 多加三先生(雑誌「堺・泉州」編集長)
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*経営の神様というと松下幸之助の名前をあげる人が多いと思いますが、明治期の堺には幸之助に勝るとも劣らない経営者がいました。それが、鳥井駒吉藤本荘太郎です。(桧本講師)

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(%エンピツ%) 緞通王・藤本荘太郎(ふじもと そうたろう)
○“アメリカ・フランスなど外国にも積極的に乗り出し、様々な技術改良や新製品の開発によって、 「堺緞通」の黄金時代を築き、メイド・イン・ジャパンを世界に広めた。”
【略歴】
・嘉永2年(1849)、藤本荘太郎・堺で生れる。
・藤本家の先祖は、組紐のしごとをしてきたが、荘太郎の祖父・庄左衛門が緞通を開始。文久2年(1862)、荘太郎は父とともに模様摺込の機械を発明し、「模様摺込緞通」を開始。
・明治10年(1877)、東京での「第1回内国博覧会」に出品。→ 「堺緞通」の名を知らしめる
・明治11年(1878)から、アメリカ・フランス・ドイツ・イギリス・ロシアに輸出
・明治26年(1893)、 「シカゴ万国博覧会」に出品大好評でアメリカ・メーソン社と提携。(アメリカに大量輸出)
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(注)当時の堺の人口と緞通業者
(明治21年)…業者91軒、職工1400人
(明治30年頃)…業者3000軒、従事者2万人(当時の堺の人口は約6万人)
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・明治30年代に入ると、 「堺緞通」の粗製乱造が激しく、その上、関税引き上げで、さっぱり売れなくなった。→堺緞通のたそがれの中、明治35年逝去。
(注)「緞通」(だんつう)…地糸に綿・麻または羊毛などの毛を用いた厚い敷物用織物。種々の織込糸を用いて模様をつける。中近東(ペルシャ)から中国を経て日本に伝来し、江戸時代から近世にかけて堺・佐賀地方で盛んに生産された手織りの敷物。

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(%エンピツ%)経営の神様・鳥井駒吉(とりい こまきち)
○“17歳で家業の酒造業を継ぎ、仲間と同業者と助け合って、精米会社、醸造改良試験所、共同醸造所を設立。日本で初めてビン詰の酒を作る.など商才に富み、ビール製造にも目をつけ、吹田にビール工場(現在のアサヒビール)を創設。また、我が国初の民間鉄道の阪堺鉄道(現在の南海電鉄)の創設にも尽力。”
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*右は、鳥井駒吉の肖像です。(堺市・地域資料「堺と酒造」より)
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【略歴】
・嘉永6年(1853)、米穀商の和泉屋伊助の次男として堺市に生れる。父の伊助は養子であったが、分家して酒造業を始めた。。
・明治3年(1870)17歳の時、父の死より、家業の酒造業を継ぐ。
・鳥井駒吉をなのり、清酒名も「鳥井」「春駒」「旭山」といった銘柄で発売。
・堺は、灘や西宮・伊丹などどともに、江戸時代に清酒の名産地。この伝統ある堺の酒造業のなかで、鳥井駒吉は頭角を現わしていく⇒明治12年(1879)27歳で堺酒造組合長に就任。明治16年(1883)に精米会社、明治19年(1886)に醸造改良試験所、明治20年(1887)に共同醸造所を設立した。・・・“いずれも醸造技術の改良や生産の合理化を目的とする革新的な取り組み”
・明治21年(1888)、バルセロナ万博(スペイン)にビン詰の清酒を出品。明治25年からは日本酒を初めて、ビン詰で発売。
・当時、高級品だったビール製造にも目をつけ、明治21年(1888)大阪麦酒会社を創立して社長となり、明治25年(1892)から「アサヒビール」を発売。
・また、明治18年(1885)には、阪堺鉄道という我が国初めての民間鉄道をスタートさせ、明治37年(1904)には2代目社長に就任(現在の南海電鉄)。
・駒吉は、多くの公職(堺県会議員、大阪府会議員など)にもついている

*鳥井駒吉は、「知覚・才能を発揮した経営者だが、仲間や地域と共に全体で成長した経営者であった」

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(%赤点%) 平成23年度「後期講座(歴史コース)」(9月〜1月:全15回講義)は、今日(1月31日)で終了しました。講師の先生並びに受講生・聴講生の皆様に、厚く御礼申し上げます。

(%ノート%) 今後のスケジュール
(%雪だるま%) (2月は冬休みです)

(%緑点%) 3月から「前期講座(歴史コース)」(3月〜7月:全15回講義)がスタートします。
*第1回講義
・日時:3月6日(火)am10時〜12時
・場所:すばるホール
・演題: 「興福寺阿修羅像とその源流」
・講師:山岸 公基先生(奈良教育大学教授)