午後になって、演歌歌手のリサイタルにつづいて行われたのは、モンゴルからの留学生ふたりによる演奏。馬頭琴が奏でられた瞬間、不思議と広場には草原をわたるかのような風が吹き始め、大漁旗がいっせいに風をはらんで波打ちはじめました。まるで海の上にいるかのようです。でも聞こえるのは草原のチェロ・馬頭琴。すばらしかったです。

この、ふだんは閑散とした、通り抜けくらいにしか使われていない広場が、たくさんの人出埋め尽くされ、にぎやかに談笑し、楽しそうに帰って行くさまには、本当に素晴らしいものを感じます。こうして人が集う「場」をつくること、それはたんなる物理的な場所のことではなく、また、きらびやかだったり、お金がかかっていたり、ハイテクだったりする必要もなく、ただ、そうしたい、という何人かの人の気持ちさえ結びつけば、実現できてしまうことで、それはしかし何ものにもかえがたいものでしょう。

特に今回はクリスマスということもあり、先月の「味覚市」にもまして多くの子どもたちが訪れたことに、まち研の進めるこれらイベントの可能性を感じます。もっとも若い世代の市民たる子どもたちが、地域で楽しい思いをすること、それも大人たちが自分たちでつくった手づくりのイベントによってそれを実現していくことには、きっと大きな意味があると思います。

船づくりワークショップには大人の方も参加してくれました。
船は大漁旗のまわりをめぐる大漁船となり、この地に宝がたどり着いたことを表わします。なかなかいいワークショップになったと思います。

やがて閉会の時間が近づきます。
テントがたたまれ、冬の短い日の光は、急に傾き始めました。
楽しかった時間は思い出になり、それぞれの家に持ち帰られました(つづく)。

(コメント:門脇篤)