きららの森 造形クラス 2月

【低学年造形クラス】
 今回の絵画制作は、ギリシャ神話から『デメテールとペルセポネ』のお話をテーマとしました。ギリシャ神話は皆様もご存知の通り、たくさんの神様が登場してきます。デメテールは母なる大地の神様、ペルセポネはその娘で、お話の中では、この娘が地下の国王にさらわれ、お母さんであるデメテールはそのことを嘆き、その間すっかり地上の植物の世話をするのを忘れてしまいます。美しかった大地は姿を変え草は枯れ、果物の木は葉を落とし、穀物は芽吹かず、鳥たちは遠い国へ飛び立ってしまいます。それを見下ろしていた青空の神様、ゼウスが、このままでは地上の動物も人間も死んでしまうと悟り、使いを地下の国へ送り、ペルセポネを返すように伝えます。ところがずるい地下の王は、娘にザクロの実を差し出し、娘は四粒食べてしまいます。地下のものを食べると地上には帰れないという掟があり、ペルセポネはまたも帰れなくなってしまいます。そこでゼウスは考えて、一年のうち八ヶ月は娘はお母さんとともに暮らし、残り四ヶ月は地下の王国で生活するよう命じます。
 制作では、デメテールの娘を失った悲しい気持ち、四ヶ月が過ぎ娘が戻ってくるという期待感、そして娘が地上に戻ってきたという明るい喜びを感じながら、冬から春に向かって伸びていく植物の様子を描き進めていきました。
 この低学年クラスでは、神というある固定したイメージをもたらすのではなく、美しい自然や季節の流れ、人間の行いの奥深くに感じる神秘な存在、その大切さを絵画活動の中で体験するというのを目標としています。現代環境の中では、この感覚を得ることが、ますます難しくなっているように感じられます。

【中・高学年造形クラス】
 今回は今までのような大自然の地水風火をイメージして描くことから離れて,子供たち自身の観る力に重点を置きました。それぞれ描きたい動物を写真集の中から選び、それを観ながらひたすら描くことを行いました。観て描くというのは、私たちが通常思い描く一般的な絵画スタイルだと思いますが、この活動には集中力と忍耐力、そして客観的にそのものを観察しようとする,いわば科学的要素が多分にあります。これは低学年では取り扱いませんが、それ以降の子供たちには少しずつ芽生えてくる大切な要素でしょう。
 描写活動はこのクラスでは初めての体験でした。始めはなかなか思いどおりに描けないので皆苦戦しましたが、見方、描き方を教えていくと徐々に力を発揮してくれました。ノンストップ一時間半集中した分、出来栄えもなかなかのものでした。次回はこの描いた動物を使って更なる制作に入っていきます。