トヨタ系下請けなど提訴へ 研修・実習生のベトナム人 ’07/3/8 中国新聞

トヨタ系下請けなど提訴へ 研修・実習生のベトナム人 ’07/3/8

 国の外国人研修・技能実習制度で来日したベトナム人女性六人が、就労先のトヨタ自動車の三次下請けメーカー(愛知県豊田市)などに対し、人権侵害や残業代の未払いがあったとして、慰謝料や未払い賃金計三千数百万円の支払いを求め、月内にも名古屋地裁に提訴することが八日、分かった。
 受け入れ支援を目的に厚生労働、法務など関係五省が設立した財団法人「国際研修協力機構」(JITCO)の管理・監督責任についても、訴状で「実態を知りながら放置した」と主張する。
 支援者によると、外国人研修生や実習生による集団提訴は極めて異例で、原告らは深刻な実情をアピールしたい考え。
 関係者によると、六人は二十代で、二○○三〜○四年に来日。日本側の受け入れ機関「豊田技術交流事業協同組合」(豊田市)から三次下請けメーカーに派遣された。勤務時間中にトイレに行くと罰金を取られたり、逃亡防止の目的でパスポートや預金通帳を取り上げられたという。メーカーの社長らからセクハラを受けた、ともしている。
 労働基準法の適用外となる来日一年目の研修期間から残業させられたほか、同法が適用される二年目以降の技能実習期間も「最低賃金以下の給料しか支払われなかった」としている。
 三次下請けメーカーは「責任者が外出中でコメントできない」とし、JITCOは「内容を知らないのでコメントできない」、協同組合は「何も聞いてないのでコメントできない」としている。
 制度をめぐっては、日本側受け入れ機関などが低賃金で単純労働に従事する外国人労働者を確保するため、制度を利用しているとの指摘もある。
 来日した外国人はビザ期限の三年間、研修生や実習生として働き、人権侵害や同法違反があっても、そのまま帰国するケースがほとんどという。
 協同組合やこのメーカーも含めた二十数社は昨年、法定の最低賃金以下でベトナム人研修生らを働かせたとして、豊田労働基準監督署から是正勧告を受けた。