きららの森 造形クラス 3月

[低学年クラス]
 今回は教室がいつもよりも広かったので、フォルメンを体全身を使って体験することから始めていきました。一人づつ部屋いっぱいに、遊び心を弾ませて、8の字に動き回りました。今度は動きにメロディと歌詞を付けて私が歌い、それに合わせて子供たちは手のジェスチュアを交えながら動きました。このように体で体験することからフォルメンを始めると、その後の画用紙での線描にも、積極性と理解度がいつも以上に高まったような感じを受けました。
 今回のお話は、『光と暗闇の大喧嘩』です。これは私がアートセラピーを学んでいるとき、光と闇、色の関係と、それらの大切さが伝わってくるようなお話がないものかとあれこれ考えている中、こんなお話があればいいなあと思い浮かんできたものをお話にしたものです。
 内容を簡単に説明しますと、生まれたばかりの光と暗闇と人間が楽しく暮らす平和な世界から始まります。でも光と暗闇が大きく成長すると、互いが邪魔になり始め、大喧嘩が始まってしまいます。その後、光が世界を支配したり暗闇が世界を支配したりしていくのですが、その厳しさの中で人間たちは途方にくれてしまいます。そこで盲目の小さな女の子が旅に出て、光と暗闇を仲直りさせてしまいます。それ以来、光と暗闇は交代で世界を支配するようになり、地上に暮らす人間のために昼間には影を、夜には星と月明かりをおいた、という流れのお話です。
 右の水彩絵画は最後のシーンを子供が描いたもので、光と暗闇が仲直りし、手と手を取り合いながら交代しようとしている、その友情のぬくもりを夕日のイメージと重ねたものです。
 私がこの課題の意義について説明しようとすると、長い文章を必要とし、理論が先行し複雑になってしまうでしょう。でも面白いことに、子供達には理屈ではなく、感覚的にその内容を体験できるということが、こういった絵の活動の最大の価値ではないかと思います。このお話の中に、光と闇のバランスの大切さ、そこに生まれる愛のぬくもり、強さ弱さを超えた価値を込めてみましたが、それらが少しでも子供達の心に届けられればと願っています。
細井信宏(ほそいのぶひろ)