番外編「旧中工場アートプロジェクト」レポート!!

カコアの活動拠点となっている松山・三津浜とは瀬戸内を挟んで繋がりの深い広島のアートププロジェクトについてレポートします。

汗ばむような陽気のなか「旧中工場アートプロジェクト」に出かけました。
広島市大のアーティスト柳幸典氏が総合ディレクターをつとめるアートフェスティバルで、われわれカコアにも馴染み深い太田三郎さんや竹田直樹さんも作品を寄せています。
まずは、「ゴミがアートになる!超高品質なホコリ」展へ。かつて広島市最大の清掃工場であった空間(写真1)に、ゴミを素材とした作品群が。微細でうっかりすると吹き飛びそうな作品から空間そのものを支配する大きな作品まで。

なかでも印象に残ったのは、しばたゆりさんの「ダストマン・スラグマン」(写真2)。
文字通りの素材でつくられた二人はそこここに姿をあらわし、せつなくも力強い主張をします。若手の出品作家さんたちが常に滞在して、自分以外の作家の作品を熱心に説明する姿勢には関心しました。

この会場のある吉島地区には数多くの作品が点在しています(「わたしの庭とみんなの庭」展)。県営住宅や子供広場に何体も設置されているのがビッグパンツリズム(写真3)。ユーモラスでやがて悲しき作品群は、すでに 広島市内のパブリックアートを手掛けている丸橋光生さん。
多くの作品には常時地元の人たちが寄り添っていて個性的な解説を聞くことができます。

気がつくと数キロ歩いて痛んだ足を気にしながら旧日本銀行広島支店のサテライト企画「金庫室のゲルトシャイサー」展に。
ここは、原爆投下後も焼け残った数少ない建築物で、銀行そのものの空間を生かしたコンバージョンによりギャラリーとして使用されています。
この会場のテーマは「国家」「戦争」「貨幣システム」。
圧倒的な力で迫る柳さんの代表作や照屋勇賢さんの美しくも社会をえぐる作品など見所満載。
中庭には竹田さんが上田博文さんと製作した作品が(写真4)。見れば見るほど作品と被爆都市広島と現代社会との関係性を考えてしまいます。
地下には柳さんや赤瀬川源平さんの作品と並んで太田さんの作品があります。ここは何しろ巨大な扉のついた金庫室。「千円札裁判」以来の法律違反すれすれ作品が緊張感を高めます。われわれもかかわった五円玉プロジェクト作品も(写真が撮れないのが残念)。
両会場を通じて、柳幸典さんのディレクターとしての力量を実感するとともに、大学(広島市大)がアートセンターの役割を果たし、それに美術館(広島市現美)・行政(広島市)が協力することで、この充実したプロジェクトが実現したのだとの思いを強くしました。
すべてのプログラムは22日(日曜日)まで開催中。必見です。
(toku)