内田樹 名越康文 著 新潮社刊
内田『親子関係は期間限定のテンポラリーな関係で
終りは必ず来る。
つまり子どもに対して親が影響を与えたりとか
ある程度言葉が届く時期って限られているんです
だからその時期に届く範囲のことを考えて
その中でできるだけ具体的な提言をするということに
尽きると思うんです」
名越『だからそのためにも親の側が生活のあるスタイルというのに
もうちょっとこだわったほうがいいですよね
ここに物を置こうよとか部屋の装飾はどうするとか
ここは何時になったら電気を切ろうよとか そういうことです」
内田「ルーティンてすごく大事なんですよ
繰り返しっていうのはものすごく大事なんです
クリエイティブ神話とかオリジナリティ神話があるから
みんなルーティンを馬鹿にするんだけどね
ルーティンほど大事なものはない」
名越『ところがやっぱり昔と比べて明らかにそこが崩れてきている
その家のルーティン・ワークがなかったら
しつけようにもしつけられないでしょ」
内田『しつけって言い換えればルーティンということでしょう、要するに
ある布にこうやって折り目付ける事が必要なら
毎日同じことをやってると必ずここにいつの間にか折り目ができるんです
折り目正しいというけども折らなきゃダメなんです
何度も何度もこうやって」
名越「そうなんですよね。やっぱりそれって基本的には
共同生活がないと無理じゃないですか。
そういう辺りのことが何もないからすごい観念的な怒り方になったり
全否定になったり、感情の爆発になったっりしてしまう
解決策は近くにありっていうか、足元にありだと思うけど」
内田『家族は毎日同じ時間にご飯を食べましょうなんてことは
誰も必死では言わないでしょう。それがしつけの第1歩ですよ
そういう決まりきったことがないとダメでなんですね」
名越「やっぱりルーティン・ワークがないとしつけができない
しつけがなかったらコミュニケーションも成り立たないし
コミュニケーションのハウツーも見つからない」
<タンポポがいっぱい咲きました>