騒がしかった選挙も終わり、もうすぐ連休が始まります。みなさん予定は立てられましたか? ぼくはお休み中も、相変わらず向島通いの毎日になりそうですが、たまには東京の外に足を伸ばすこともあります。
先週末は、以前からとても気になっていた広島の「旧中工場アートプロジェクト2007」を、最後の2日間で観て来ました。直前まで仕事が建て込んで、行くかどうか悩みましたが、思い切って出かけてみて、本当に良かった。詳しくはプロジェクトのホームページ(http://nakakoujou.jugem.jp/)をご覧いただくとして、使われなくなったゴミ処分場の建物、そこからほど近いまちの一帯、そして市の中心部にある、旧日本銀行広島支店(被爆建築)、3つの性格の異なる展覧会場が繋がって、ひとつの大きなプロジェクトとなっていました。
このプロジェクトについては、以前にとたんギャラリーのところでも触れたように、知り合いのアーティストもたくさん参加していたので、各人がどのような活動をしているのか、大変興味がありました。また、旧日銀の施設を使った展覧会「金庫室のゲルトシャイサー」では、戦争とお金(ともにグローバリゼーションと切り離せませんが)をテーマに据えた、興味深い展示が行われていて、つい最近、同じ被爆地の長崎では、非常にショッキングで悲しい事件が起きたばかりだっただけに、アートがこうしたテーマとどう向き合うのかについても、とても関心がありました。
ここではひとつひとつの作品について触れる余裕はありませんが、一点だけ、昨年のAAFにも参加された、竹田さんと植田さんによるプロジェクトの写真をご紹介しましょう。「広島のために」と名付けられたこの作品は、工事現場などで使われる、土を運ぶ手押し車の上に、小さく精巧な庭園をこしらえたもの。この持ち運び可能な移動する庭園は、全部で6台。庭園に植えられた樹木は、広島の原爆で被爆したキョウチクトウの子孫たちです。
旧日銀での展覧会の最終日、竹田さんたちはスタッフと一緒に銀行から出発して、雨の中、この6台の移動式庭園を、旧中工場からほど近い、海沿いの児童公園まで粛々と運んで行きました。そこでキョウチクトウの植樹イベントを行ったのだそうです。
残念ながら、ぼくは銀行前で彼らを見送っただけで、植樹会場までついてゆくことは出来ませんでしたけれども、当日そこに集まった人の中には、年配のご婦人もいらっしゃいました。
「こんなイベントがあるって聞いて、わたし本当に嬉しくって。」
聞けば、7歳の時に被爆された方だということでした。(曽我)