地域で行うアートプロジェクトについて、その成果をどのように評価するべきかがしばしば問題になります。確かに、三田村さんのようなプロジェクトでは、単純に毛糸のセーターの提供者の人数や、編み上がったマフラーの長さ、長屋への訪問者数などをカウントしたりするだけでは、プロジェクトの本当の価値を計ることはできません。そこにはもっと、別の視点やアプローチが必要になります。
このように、数字では推し量れない性格を持つ個々のプロジェクについて、それらを評価する新しい方法を開発しようと、AAFではこれまでも様々な取り組みを行って来ました。今年は、コミュニティアートふなばしの下山さんが中心となって、検証のためのチームを設け、全国のプロジェクトの丁寧なリサーチを行うことになっています。
先週末の土曜日は、このチームのトレーニングを兼ね、メンバーが向島を訪れて、向島芸術計画2007の模擬検証(?)を行いました。
「こぐま」に集合したメンバーのみなさんにプロジェクトの概要を説明、ちょうど偶然やってきた、アーティストの住中さんにも加わってもらい、いろいろな質問を受けました。時々、メンバーの質問の仕方について、下山さんから鋭い突っ込みも。一通りインタビューが終了した後は、各自が記憶に残った言葉を、キャッチフレーズのように短い文句でまとめてみます。それぞれの方が、要点を上手くまとめていらしたのには感心しました。
その後、20分ほどまち歩きをして、京島の長屋へ。そこで、ちょうど居合わせた美学校の生徒さんとも合流し、アーティストの三田村さんに、さらにインタビュー。
「どうして毛糸を編むことにしたんでしょうか?」
「1ヶ月京島で生活して、何か新しく見えて来たものはありますか?」
検証というとお固いイメージがありますが、こうして外の視点から質問を受けることで、自分たちのプロジェクトについて、いろいろ考えたり気づいたりする、良いきっかけをいただいたように思います。
チームのメンバーのみなさん、お疲れさまでした。さらにインタビューとリポートの腕を磨き、それぞれのプロジェクトが持つ数値化できない魅力を、多様な視点で発掘していただければと思います。(曽我)