櫻ヶ岡中学校の中平です。3年生「グラデーション・マジック」の授業。黒い画用紙に、マスキングテープを使って、パステルでグラデーションを使いながら表現をします。生徒の様子を観察すると、自分で目的や表現したいことを考えて、決めている様子がわかりました。
まず右の写真の生徒は、A4の画用紙を、正方形に切ってしまいました。自分のやりたいと思ったイメージが、正方形に合っていたのでしょう。与えられた画用紙を切断しようという発想は、とても良いので、私も許可しました。生徒は、あれこれ画面構成を考えていました。
右の生徒は、黒い画用紙の上に、黒のパステルを塗っています。隣の生徒がこの様子を見ていて、「なんで黒い画用紙に黒を塗っているの?」この問いに、作者の生徒は何も答えません。私が予想するに、黒の画用紙の黒が、作者の黒のイメージに合わなかったのではないでしょうか。色に対するこだわりを持っていると考えられますし、自分の作品のイメージを持っているのでしょう。
学校の授業の中で、生徒自身が自分で答えを考えて決め、目標に到達するまでの方法も自分で考えることができる授業があるでしょうか。それは美術しかありません。黒い画用紙とパステルという生徒全員共通の道具を使って、一人一人目的も方法も違うのです。それを教師が見つけ、生徒に言葉で返していく。そこに美術教育の学校での存在価値があると、私は考えています。