養成講座7月7日のご報告(1)

10:00〜12:00「歴史的環境の整備」リム ボン講師

世界遺産に登録されたポーランドのワルシャワとドイツのドレスデンについて映像をまじえて紹介がありました。

ワルシャワは1980年に世界遺産に登録されました。一度破壊され、つくりなおされた都市を世界遺産と認めていいかどうか意見が分かれ、一度却下された経緯があります。
「登録は当然 or レプリカであって世界遺産にはふさわしくない」という受講生への問いかけには「登録は当然」との意見が多数でした。

京都に置き換えて考えてみると残されている有名な町家も明治に復元されたものが多い。このような修復、再建には建造物に対する精神、哲学、職人の技術の「継承」が必要であり、歴史的な環境の保全にはお金がかかる。特に日本においては「資金をどうするのか」ということがこれからの課題であるとのこと。

ワルシャワもドレスデンも戦争によって空爆された都市であり、戦争の名のもとには歴史的建造物の保存などという考えはあとかともなく吹き飛んでしまう。両都市の復興が成功した大きな理由として復興が国家的プロジェクトであったことが挙げられるが、単なるイデオロギーのおしつけであったならば市民の心を動かさなかったのではないか、都市の復興が自分たちの正しさの証明だったのではないかとのお話がありました。
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ドレスデンの復興には200億円以上もの費用がかかったそうです。半分は寄付によるもので市民だけでなく外国からも多くの寄付が寄せられました。また、建物の復元には多くのボランティアがかかわり、85%も破壊された都市を蘇らせました。都市の復興は単なる建物の復元だけでなく、市民のアイデンティティの復興でもあったのではないかと思いました。(吉岡)