ポーランドの自然映画祭をのぞいてきました (2)

EARTH VISION 中央ヨーロッパ特派員の華沙です。
ポーランドの「ヴウォジミェシュ・プハルスキ自然映画祭」
http://www.wfo.com.pl/start.php

この映画祭の趣向はグランプリ作品を紹介することで明らかになると思います。

今回の受賞作品は
「砂は略奪者である Piasek jest drapieznikiem (The sand is a Predator)」
という45分ほどの作品です。2005年制作のこの作品は、すでに
第39回ヒューストン・インディペンデント映画祭特別賞
http://www.worldfest.org/

第9回ポーランド・エコロジー映画祭 EKOFILM 2006 特別賞
http://www.ndk.pl/ekofilm/

を受賞しているようです。すでにDVD化もされており、ネット経由で購入することもできます。
(19ズウォチ、800円ちょい。安い…)

肝心の内容ですが、ポーランド北部バルト海沿岸のスウォヴィインスキ国立公園http://www.slowinskipn.pl/spn_pl.php
の砂浜に自生する草・樹木、蟻やテントウムシを始めとする昆虫、カモメ・ウミドリ・鷲から野豚に至るまでの生命が、潮風にあおられて強烈に叩きつけてくる砂吹雪の中でどういった知恵をもって生きているのか、そして四季を通してそれら動植物の間でどのような食物連鎖がみられるのか、といったことを紹介しています。ナレーションと演出的な音楽を付けて、多分に教育的に作った作品です。

他の作品もいくつか見ることができましたが、その多くがグランプリ作品と同様に、四季を通した自然(湖沼・河川・森林等々)の美しさやその内に秘められている生態系の多様さ、動植物間の食物連鎖等々を、十代の若年層を対象に意識して紹介・解説するような作品が多く見られました。特に森林をテーマに扱う作品が多い印象を受けましたが、これはヨーロッパの伝統なのでしょうか?

実をいいますと、参加する前はポーランドにおける環境破壊の告発や社会への問題提起的な作品を暗に期待していたのですが、そういった作品はほとんど見られなかったことに(あるにはあったようだけど見れなかった。事情は後述)、軽いとまどいと新たな世界を垣間見る興奮の二つの異なった感情を抱くことになりました。同じくポーランド映画「傷跡」(監督:クシシュトフ・キェシロフスキ)で、物語の背景として化学工場建設による公害問題を結構リアルに描いていたのが頭にあったからかもしれません。

今回は少し長くなりました。次回は映画祭の冠にもなっているヴウォジミェシュ・プハルスキという人物について紹介しましょう。(つづく)

写真はグランプリ受賞作「砂は略奪者である Piasek jest drapieznikiem (The sand is a Predator)」のDVDカバー。