石原公彦、三津浜を彷徨う。

甲子園ではヒッティングマーチが鳴り響き、三津浜にはギラギラと真夏の太陽が照りつける8月9日。早朝からアーティスト石原公彦は、三津浜の「音の風景」を録音するために、三津浜を彷徨い歩きました。

アート蔵〜三津の渡し〜伊予鉄道高浜線港山駅〜三津駅〜三津浜商店街〜三津浜公民館〜三津埠頭〜アート蔵

思いつくままに音を拾って、レコーダーに録音していきます。

石原には絶対音感があります。音楽にあまりなじみのない方にはピンとこないかもしれませんが、たとえば三津の渡しの「ポンポン」という音、鉄道の遮断機がおりて鳴りはじめる「カンカン」という警報音、クルマのクラクションの音。そのすべての音を石原は、オタマジャクシ(音符)に書くことができるのです。

いまでは、音楽教育の発達で、絶対音感を持ち合わせている子供は多いのですが、街中にあふれている音すべてを、オタマジャクシ(音符)に書き写す聴力を彼は持っているのです。街中の音は、彼にとっては音楽なのかもしれません。

いま石原が求めているのは、三津浜に伝承されている(かどうかわかりませんが)民謡のメロディなのです。三津浜商店街で、ある酒屋さんに入ってみました。石原は店主とおぼしき初老の男性に声をかけました。「三津浜で唄われている、民謡か漁師歌はありませんか?」と。

突然の素性の知らぬ訪問者に戸惑っていた店主も、次第に打ち解けてきて、自分が通っていた三津浜小学校の当時のアルバムを出してきて、いろいろと昔話を語ってくれました。スポーツ少年だった店主の、熱っぽい語り、気概のようなものから彼は何かを感じ取ったようでした。
結局は求めていたメロディには出会いませんでしたが、三津浜の記憶の深淵の一端には触れることができました。
それにしても、当時の小学校の校舎は、モダンだったんですね。。。

このブログをご覧の方で、三津浜に伝承されている民謡や漁師歌をご存知の方がいらっしゃったら、コメントの欄にひと言添えてくれればありがたいです。11月4日の「アートバトルin三津浜」で、石原がメロディを素敵に料理することと思います。

(text:井川雅人)