今回、「アートin湯治(AIT)」のアーティストの宿泊関係や、作品設置の許可関係などの現地コーディネーターを担当してくださっているのが勘七湯七代目湯守の高橋聖也さん(写真左)。東鳴子ゆめ会議のまとめ役である旅館大沼五代目湯守・大沼伸治さん(写真右)とともに協力に現地でのアート企画推進に動いてくださっています。
この勘七さん、かなりポイントをはずしたギャグや質問など、そのアクションはほとんどアート並みだともっぱらのうわさなのですが、しかし本当に誠実でずるいところのない方で、私が思うに、確かに経済効率などの短期的で目に見える数値的な指標で図れば勘七さんの仕事効率にはどうかと思われる節も多々あるかもしれませんが、長い目で見れば、決してそれがうまくいかなくても、誠意をもってやっているその姿は、必ずやいい結果を引き起こしていくのではないかと感じます。
今日は長いこと懸念だった案件が、3分ほどの電話一本で済んでしまい、後で勘七さんのお風呂へ入りにいくと、「いつもはこんな早い時間にビールを飲むことはないんですが、あんまりうれしかったんで、飲んじゃいました」と空のアサヒビールを片手ににこり。
アートがやってこなければ、こんなわけのわからない、別にお金に結びつくわけでもなんでもないめんどうな交渉ごとにかかわることもなかったかもしれないわけですが、それにいやおうもなく巻き込まれ、しかもそれがうまくいったと本当にすっきりさわやか喜びを味わうこの感覚(うまくいったからといってくどいですが、別にお金にもなんにもならないのに)。これは「まちとアート」をテーマにやってきていつも感じる感覚のひとつです。だから、アートにかかわる交渉ごと、準備のひとつひとつがアートだと私は思います。これは実際味わったことのない人にはおそらくわからない感動のひとつではないかと思います。そんなことも伝え、表現し、いっしょに分かち合いたいと、私はまちの方とともに何かをつくることにこだわりたいと思っています(もちろん、あんまり負担のない範囲を心がけていますが)。
(コメント:門脇篤)