さくらびレポート95 さくらびキッズ@小布施・千曲川ハイウェイミュージアム その2

櫻ヶ岡中学校の中平です。昨日に引き続いて、さくらびキッズ7名と現代美術作家・佐藤比南子さんによるワークショップの様子を報告します。
 佐藤さんは、羊毛を布状にし、様々な方向から引っ張り、空間構成する作品を発表しています。青いフェルト作品に加え、もう一つ別の青いフェルトで生徒にも空間構成させてくださいました。

天井の高いところからフェルトを引っ張りあげなければならない時、男子が脚立にのぼり、紐を引っ張りあげます。女子も高いところに登って、キャーキャー言いながら紐を縛っていました。驚いたことに、いつも学校ではできない「はい」という返事も、こういった場所では自然に出てきます。登る人、抑える人、クリップにボンドをつける人、など分業がおのずとできており、驚きました。

一時間ぐらいして、男子生徒が、ホットボンドと釘を使い、指に丁度はさまる大きさのオブジェを作っていました。材料は、全てここにあるものです。制作していたら、自分のオリジナル作品を作りたくなったのでしょうか。一生懸命作っています。

写真は、別の男子生徒の作品。針金とピンを使っています。
これら、男子の作品は、佐藤さんの作品と一緒に展示していただけることになり、みんな大喜びしていました。

今回、2時間の作家さんとの共同制作ではいろいろ学ばせていただきました。
アート作品を作っていたときの生徒の表情は、素晴らしく生き生きしていました。どんな作品になるんだろうとか、自分でやっているという感じが充足感をもたらしていたように思います。
 ある男子生徒が、ワークショップの始めは「何作らされるのかな?」と受け身なきもちを持っていたようですが、終盤では、「自分の作品も早く展示したい。もう一回来たい」と言っていました。この変化には驚きです。
 ある女子生徒は、「佐藤さんを学校に呼んで、学校で作品展示してみたい」と言っていました。
 
 今回、この美術館訪問に参加した7名の生徒は、選択美術を受講している生徒で、部活動はバスケット部、サッカー部、吹奏楽部などで日頃は美術と関係ない生徒ばかりです。その生徒を、学校では見られない表情や姿に、一日で変えてしまった美術やアートの存在意義を強烈に感じさせられました。私たちが何も言わなくとも、生徒は頭を働かせ、身体を動かしていました。ここに、とがびアートプロジェクトなどと共通する教育的価値が確実に存在しているのです。