淡路島アートフェスティバル2007のサイトのひとつ、公設市場の展示プログラムを紹介します。洲本公設市場は洲本市市街地の中心にあり、市民のまたは市場フリークの憩いの場所、またはdoor to doorの冷蔵庫代わりとして、新鮮で美味しい食材がたくさんあります。淡路島の取れたて鮮魚を扱う魚屋さん、精肉店、鶏肉専門店、果物屋、八百屋、すしデリバリー、コンビニ風便利屋、薬屋、2階にはカラオケ喫茶、和食堂、端切れや、洋服店、ジュエリーショップ、パーマ屋、無くなってしまったが珍しい昆布専門店、などなど、生活に必要なものは全て揃います。その一角に空き店舗を利用した休憩所があり、そこを展示場所にお借りしてている。昨年度はいちご美術館やフィシングダイアリーの展示場所でありました。いちご美術館は2+1=3+αパワーのアーティストユニットで市場の店舗や店主、お客さんを巻き込んだパフォーマンスと計4回に及ぶ展示を繰りひろげました。フィシングダイアリーは休憩所の図書と紛らわした所蔵していた釣り雑誌を並べ、一昨年のインタビュウマップを展示。その横に黒板を置き、淡路島滞在時のエピソードがその都度描き込まれた。フィシングダイアリーの現在・過去・未来を推測しうる展示とした。また2階に上がる階段の壁面には文脈壁画と題した、とある事情を克服すべく、もとある壁面を活用しながらフィシングダイアリーが淡路島で獲らえた様々な生き物たちを描き込んだ壁画がある。 公設市場の紹介が少し長くなりましたが、前回はそういった感じでした。今回の市場プロジェクトには二組のアーティストが参加されました。東京在住のフォトグラファー瀬川陣市 さんは休憩所の棚を利用した展示。淡路島在住の特殊メイクアーティストユニット/AWAJIC HORRERはいちご美術館跡地を利用して展示しました。 今回は瀬川陣市 さんの「ロードムービー的AWAJI」を紹介します。瀬川陣市 さんは淡路島アートフェスティバル2007参加者募集から参加されました。2005年淡路島アートフェスティバル2005の見学と淡路島を散策されたときに淡路島の面白さに魅せられ、2007の参加になりました。最初、考えられていたプログラムは展示のため淡路島に来る道中に、その旅の過程で定時にごとにカメラのシャッターを切り、移動=時間軸と場所の移り変わり、風景の部分的な切り取りによって、そこに淡路島が最終的に現れるという表現の試みを考えていましたが、日程等の都合で、本人が淡路島入り出来ないと言うことで、あえなくプログラム変更となりました。外国人が見た日本ではありませんが、東京から見た淡路島といったような切り口で、一昨年訪れた際に撮影した淡路島の切り取り風景を淡路島の南から北へ向かう行程を追って撮影された写真群。もともと淡路島に無かった風景が、近代化の残しものがいつしか淡路島の風景となってなじんでいることが改めて、この作品を通して見えてきます。風景って造られていくものだなーって、思いました。その作品群は大型和紙にプリントされて、柔らかな空気を孕み、突き返される光ではなく、吸い込まれる空気感=風景と化しています。市場の休憩所に展示されている、それらはその場所に休息に来る人達と紛れ、また時に異化された風景と同化していように感じられます。いずれまた淡路島を瀬川さんが訪れるとき淡路島がどんな風に映り、どんな写真としてシャッターが切られるのかが楽しみです。