12月9日までの会期で、鳴子の隣町・岩出山の「感覚ミュージアム」を一方の拠点に展開している「りくとうアートライン・セカンドステージ」ですが、藁を大量に使った大場順一作品の展示は今週末までとなります。どうぞお見逃しなく。
いかにも「これがアートか?」という話になりそうな作品ですが、大場さんの作品解説を読めば、なぜ藁が大量に積み上げられ、提示されたこの空間が彼の作品たりえている、あるいはそうならざるを得なかったのかがわかります。
しばらくこの空間にいると、ミュージアムに訪れた方が驚きながら扉を開け、わけもわからず圧倒されている姿を目の当たりにし、少し語弊がありますが、作品そのものよりもむしろその反応にとてもひかれます。そうした反応を起こさせる仕掛けにとても感銘を受けます。
置かれたノートの書き込みもさまざまです。いくつか拾ってみたいと思います。
小さい頃、牛がくさいと思っていたけれど、あのにおいは藁のにおいだということに気づいたという方。
すごいにおいだと書き始めているので、否定的にとらえているのかと思いきや、2ページにわたって書かれた感想の後半部分では、しかしこうした作品のの挑みかかってくるような姿勢はなかなかないと肯定的に受け止めている方。
オーストラリアで自分が幼少時代にかいだのとおんなじにおいだと、国際的な藁のにおいの比較を行う方。
いや、本当にこうしたいろいろな反応を導き出して、それを何らかのかたちで共有させるような仕掛けをつくるものこそ、「まちとアート」には必要なのだと改めて痛感させられました。
(コメント:門脇篤)