「中学校を美術館にしよう」という合言葉のもと、長野県千曲市の戸倉上山田中学校ではじまった取り組み「とがびアート・プロジェクト」が、「Kids in the Arts Award」という賞を受賞したそうです(こちら)。
「とがび」は中学生が「キッズ学芸員」として、アーティストの展示をお手伝いするだけでなく、その選定までも行ってしまう、というたいへんすごい取り組みです。そこではアーティストと中学生とが、「見せる/見せられる」という関係をこえて結びついており、しかもそれが根付き、さらには長野県内へと波及し、周辺の小中高校までも巻き込んで行われるまでに至っています(詳しくはこちら)。
私はまちの中でやっていますが、この「キッズ学芸員」を援用し、まちの人たちが自分たちの見たい作家を呼んでコーディネートする「まちのキュレーター」をやりたいと考えています。「見せる/見せられる」という関係をどうにか崩したいと思うのです。
この「見せる/見せられる」という関係は、いろいろな仕掛けによって部分的に突き崩すことができるし、作り手側に立てば、その仕掛けそのものをつくることや、突き崩されたこと自体も部分であるからこそのおもしろさがあったりするように思うのですが、時折、そんな小手先や部分の問題ではなく、まちの人全員が作り手になってしまうような、そんな価値や視点がまるごと動いてしまうようなこともおもしろいだろうなぁ、やってみたいなぁと思ったりします。
(門脇篤)