源氏物語の本文

日 時 平成24年2月6日(月)
場 所 芦屋公民館
講 師 片岡利博氏(神戸松陰女子学院大学教授)
 私達は古典文学の最高峰と言われる「源氏物語」を、通常は
印刷された本で読んでいます。
 しかしこれはその後の人たちが書き写したもので、紫式部が
書いたものは1行たりともありません。
 突き詰めれば「源氏物語」は本当に紫式部が書いたものかと
いう疑問すら出てくるわけですが、これについては一応同人の日記等で証明されているようです。
 また常識として54帖から成っていると理解していますが、「無名草子」(1200年頃:王朝物語を批評した書)では60巻とも記載されているとのことです。
 最も古い写本は、1225年に藤原定家が書き写したもので定家本と呼ばれ、4帖(花散里・柏木・早蕨・行幸)のみ現存しているとか。
 その他、河内本・尾州河内本・大島本・明融本等がある由ですが、いづれも内容は若干異なっているとのことで、これは ①写し間違い、②意識的な書き換え、③内容を簡略化・・・したこと等によるものだそうです。
 当時は著作権もなかったので、原本を改作することは日常的に行われており、清少納言などは、「元のとおり写すのは無能力者のやることで、原本をより良くするために書き換えるべき」と言ったとか。
 私達が今手にしている「源氏物語」は、「定家本+大島本+明融本」がほとんどであるとのことでした。