秋山郷はまだまだ残雪が多かった 栄村報告3

秋山郷は新潟県津南町と長野県栄村にまたがった地域である。冬季は津南町からしか秋山郷には入れない.津南町から秋山郷に入り、中津川を渡ると対岸から栄村になる。旧坂を上り詰めると最初の集落、小赤沢地区だ。ここに秋山郷総合センターがある。旧小学校跡地に建っている。
写真のように、冬季の間は防雪シートに覆われている。このシートは「雪がコネット」という商品名で、風は通すが雪はシャットアウトする優れものである。

総合センターの入り口で出迎えてくれたのは、その日(3月29日)の講師であった福原直市さんである。
福原さんは、母方の父親が秋田マタギの系統で秋田県の阿仁から移住してきたという。福原さんで6代目になるらしい。福原さんは消防団長、農業委員、民生委員などを歴任した地域のリーダーである。
「秋山郷の自然と暮らし」と題した講演の中では、子どもの頃の苦しかった生活や、マタギとしての狩猟などについて、身振り手振りで語ってくれた。

秋山郷の中ほど、対岸になるところに集落が点在している。屋敷という集落である。写真のように、斜面に家がつくられている。
今年の秋山郷は最大積雪が2m50cm程度と、栄村としては少なかったようだが、それでも3月末という時期でも写真のような残雪である。この日(29日)は雨模様でコートなしには外に出られない寒さだった。

この屋敷集落の中に、夫婦二人で運営する「秋山郷民俗資料館」がある。看板も写真のように手づくりである。
この資料館の中には、まさに所狭しとかって秋山郷の村人が使用した民俗が並べられている。ご夫婦の熱意や執念が感じられるところである。
この集落の民家も相当建替えられている。その建替えの時に収集するものらしいが、もう出ることがないだろうと思われる民族資料が多い。

28日、29日ははっきりしない空模様だったが、30日の日曜日は雲1つない快晴となった。宿泊したのは、秋山郷の突端で旅館が3軒あるのみ、民家はないという切明温泉の「雄川閣」という旅館であった。源泉かけ流しだったが、露天風呂まで入った人は少なかったようだ。
30日朝、旅館から津南町に向かう途中の車窓から見たのが、写真の鳥甲山である。