スタッフのなかのです。
前日ワインを飲みすぎて、ガンガンする頭をかかえつつ、「花はどこへいった」の
試写会に行ってきました。
結論から言うと、これはやはり、観てほしい映画だな、と思います。
坂田雅子監督は、夫のグレッグさんが54歳という若さで、肝臓がんであっという
間に他界し、気持ちのやり場を失ったとき、友人から「原因は、ベトナム戦争の
ときに浴びた枯葉剤が原因ではないか」と指摘され、そのことを確かめるために
ドキュメンタリーをとる決心をされたそうです。
この作品が他の作品と大きく違うところは、製作者がいわば「枯葉剤禍」の恐ろ
しさを、最愛の夫を失うという形で実体験している点です。
また、その悲しみをそのまま画面にぶつけているところです。
忌まわしい戦争の記憶を、多く語ろうとしなかった夫が残したわずかな言葉が、
同じ苦しみを今も背負うベトナムの人々を訪ねる中で、実体を伴って蘇ってくる。
監督の二重の心の痛みが、ひしひしと伝わってきます。
きっとお二人は、素敵なカップルだったんだろうなぁ・・・・・
米国がベトナム戦争のときに散布した枯葉剤の被害は、既に3世代にわたって
続いていることは、最近もテレビで報道されてましたね。奥ゆかしいベトナムの
人たちもやっと米国にたいして訴訟を起こすにいたりました。
しかし、米政府は全くこれを無視しています。
映画の中で私が一番驚いたのは、若き日、結婚するにあたり、グレッグ氏は
坂田さんに、「自分は何度も枯葉剤を浴びているから、子どもは生めない」と
言ったというくだりでした。彼はジャーナリストとして活動を開始していたせい
なのかも知れませんが、70年代始めに、既にそういう認識が米国側の人の
中にあったのですね。
映像の中で、重い障がいを負って生まれてきた弟を、二人の姉がくったくなく
可愛がるシーンがあります。3人を抱きしめたくなるようなシーンです。
戦争禍とはまた別に、自分とちがった存在を、しっかりと受け止める人々の姿を
通して、監督からのもう一つのメッセージが伝わってきました。
この映画は、6月14日〜7月4日まで、岩波ホールにて、特別上映されます。
http://www.cine.co.jp/hana-doko/index.html