自己発見法(セルフ・カウンセリング)〜落ち着かないとき〜

どうにも気持ちが落ちつかない時、
私たちの心の中では、なにが起こっているのでしょう?
何に対して、私たちの心は、落ち着かなくなっているのでしょう?

自分で自分を落ち着かなくさせていた思いに気づけた時、
私たちは、目の前の出来事を自分の感情的な思いから離れ、
あるがままに認識することができます。
そこから相手と心の交流をする機会がうまれ、
お互いを生かし合う知恵を創造することができるようになっていきます。
今回は、そんなお話しを紹介します。

「心の問題の中核」 渡辺 康麿

<私たちが落ち着かなくなるとき>

私たちの心の問題の核心とは、いったい何なのでしょうか。
心に問題がない状態というのは、どのような状態を言うのでしょうか。
まわりの人々に対して、みんないい人だ、とプラス感情を抱いているときや、
自分に対してこれでいい、とプラス感情を抱いているとき、
私たちは落ち着いていられます。
過去もよかった、現在もよい、未来もよいであろう、
と思えているようなときは、私たちの心には、ゆとりが生まれます。
このような心の状態が、即ち何の問題もない状態であると言えるでしょう。
それでは、心に問題があるときというのは、どのようなときでしょうか。
いくつかの段階に分けて考えてみましょう。

第一段階は、まわりの人に対してマイナス評価をしているときです。
まわりの人に対して不満を抱くとき、私たちは少し落ち着かなくなります。
しかし、この場合、悪いのはあくまでも不満を抱かせる相手であって、
不満をもつ自分ではありません。
変わらなければならないのは相手であって、自分ではないと思っています。
相手をマイナス評価していればいいのです。

第二段階は、
自分がまわりの人からマイナスに評価されている、と感じるときです。
自分がまわりの人からマイナス評価を受けたと感じたとき、
私たちは落ち着かなくなります。
しかし、私たちはまわりの人から、マイナス評価を受けても、
何らかの理由をつけて自分で自分をプラス評価しようと試みます。
幸いなことに、私たち人間には自分を正当化できる能力があるのです。

正当化の仕方はいろいろあります。
強気の人は、自分をマイナス評価する人を攻撃します。
相手のネウチを引き下ろすことで、自分のネウチを守るわけです。
弱気の人は、自分をプラスに評価しようと自己弁護を試みます。
相手に対する自分のネウチを引き上げることで、自分のネウチを守ろうとします。

第三段階は、まわりの人をマイナス評価するのではなく、
また、まわりの人からマイナスに評価されるのでもなく、
自分で自分をマイナスに評価せざるを得なくなるときです。
このとき、私たちは、本当の意味で落ち着かなくなります。

<自己評価不安が心の問題の中核>

人間だけが自分で自分のネウチを評価する動物です。
この「自分で自分自身のネウチを評価する」という点に、
人間の独自性があると言ってもいいでしょう。
私たちは、<こうありたい>とか<こうあるべき>という、
自分についてのイメージをもっています。その理想の自己像にもとづいて、
現実の自分自身の在り方をプラスに評価したり、マイナスに評価したりします。
自分についてのイメージと現実の自分とが、一致していれば問題は生じません。
しかし、自己像が現実の自分と一致しなくなったとき、問題が生じてきます。
私たちが<自分はこうあるべき>とか、<自分はこうありたい>
と思っているとします。
そういう場合、その自分についての理想像と一致しない現実の自分を、
否定的に評価せざるを得なくなります。
理想の自分を肯定する思いが強ければ強いほど、
現実の自分を否定する思いも強くなります。
理想の自分と現実の自分の食い違いから、
不安(漠然とした落ち着かなさ)が生じてくるのです。

このように私たちは、自分で自分をマイナス評価して
不安に陥ってしまうことがあるのです。
この不安感を、セルフ・カウンセリングでは「自己評価不安」と呼んでいます。
「自分のネウチを肯定したいけど肯定できない、
 否定したくないけど否定せざるを得ない」という自己評価不安こそ、
あらゆる問題の中核である、とセルフ・カウンセリングではとらえています。

このような自己評価不安におちいると、私たちは、
その不安から解放されることを願うようになります。
その願いに促されて、私たちは、
自己超越的な反省=セルフ・カウンセリングに取り組み始めます。
その反省によって、私たちは、自己の現実と他者の現実をあるがままに認識します。
すると、他者との交流にもとずく解決策をつくり出せるようになります。 (%ハート%)

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http://www.self-c.net