THE BIG ISSUE 96号より

世界の当事者になる 勝者の傲慢 
雨宮処凛

私にとってもっとも言葉が通じないと思うのは
いわゆる「勝ち組」とされるような人々だ
例えば会社の社長とかよくわかんないけど
なんか起業して成功している人とか与党側の議員とか

彼らの言い分を要約すると
市場競争に勝ち抜いてより多くの利益を生み出せる
スキルのある人間だけが必要で後は必要ない
ということだろう
これを突き詰めていくとなんだか優勢思想っぽい
恐ろしいことになると思うのだが
彼らにはその考えが「差別的」という意識はないようだ

資本主義社会でより多くの金銭的利益を生み出すことだけが
個人の価値ならば、例えば病気で働けない人や
障害を抱える人などはどうなるのだろう

例えば彼らはいま貧乏な人を
「努力やスキルが足りない」などと批判する
しかし高度な能力を身につけるには
教育が必要だ

日本で「貧困」という言葉がやっと少しずつ認知されてきたが
そんな「勝ち組」とされる人々の心こそ
もっとも貧しいと思うのだ

<シランはたくましいですね。