適職は偶然の出会い まずは社会的地位をつかめ 姜尚中

20代は進路を決められず大学院に残り
モラトリアムの期間を過ごしました
在日として生まれたこともあって
アイデンティティーの問題もあり
「私は何者か」「何を求めているか」を
ただひたすら悩み続けていました

30歳直前でドイツ留学
日本と距離を置いて自己を見つめたかったからです
でもこれがこれがまさに人生の大きな転機に

留学生との交流もあって
自分を遠景から相対化してみることができたんです
それまでは何でも自分本位だったのですが
世界で起きていることに比べれば
自分の悩みなんて本当に小さな砂粒でしかない
でも光っていればそれでいいではないか
と思えるようになりました

世界を知って自分を知った
だから異質なものに飛び込んでいく
モチベーションって大切だと思います
「どんな仕事でも根っこの部分で人間の価値や宗教に対する
アンテナを持っていないと世界で通用しないし
人間として薄っぺらになってしまう」と気付いたり
多面的なものの考え方ができるようになったのは
やはり留学のおかげです

「どうしたら自分に合う仕事がみつかるか」というのは
多くの人の場合実は「偶然」のような気がします
だから適職に出会うためにはまず動き
言ってのステータスを得ることからはじめてみるといい

自身が得た社会的地位に見合う自覚が出てくるし
自分なりにいろいろなものを引き受けていくようになるし
役割もつかめてくる
そんなふうにステータスが導いてくれる面も
往々にしてあると思います

<ツリガネソウがたくさん咲いています。