第13回『「ありがとう」を伝え合える関係 生産者と消費者の輪広がれ』(7/9掲載 京都新聞)

 ある日のこと。食事の支度中、ふとお酢屋さんの風景が浮かんで来ました。「生産者見学会」でお伺いしたことのある所です。続いておしょうゆ屋さんと油屋さんも。製造所の様子と共に、それぞれのお顔が浮かんで来ました。世間一般では、どなたが作ったのかわからない食べ物がほとんどの中、「これはとても幸せなことかもしれない」と思いました。
 ある作り手から「人間はいくらでも悪い事ができるけれど、こうして消費者と会うと、自分にブレーキをかける事ができる」と聞いたことがあります。わたしたちも作ってくださった方がわかるだけに、より感謝していただけます。直接お目にかかれない方でも、会の通信から生産状況を知ったり、お人柄をうかがうことができます。
 また、おいしいものが届いた時、思わず感想を伝えたことがありました。すると、作り手からお返事が届きました。「ありがとう」を伝え合える関係。つくづくいいなぁと思います。
 わたしは会員歴四年の三十代主婦で、一才の子どもがいます。妊娠中や出産後は特に、会の宅配に助けられました。
 やって来るお野菜はその時採れる旬のもの。同じものばかり続いて、大変な時もありますが、栄養価も高く、栽培にも余計な設備や燃料や薬が不要で、地球環境にも穏やかです。同じ食材が続いた場合も、他の会員から使いまわしの工夫を教わり、やりくりすることもできます。
 今後、生活全般の知恵など、互いに得意なことを伝え合う輪を拡げていけたら、もっと楽しくなりそうです。