さようなら港湯さん/テジ@東京

東京都北区にある港湯さんが7月末で店を閉めるということなので、緊急レポートです。

北区十条、その中心は埼京線の十条駅に近いあたりらしく、十条銀座商店街はいまも賑わっています。商店街の近くには十條湯と松の湯という二軒の銭湯もあります。

それに対して、赤羽駅から東十条駅にかけての京浜東北線西側に広がる住宅街にも、かつては多くの銭湯があったようですが、道灌湯はじめ軒並み廃業、銭湯の空白地帯になってしまいました。東十条駅に近い中十条3丁目にある港湯さんも、原油高騰のあおりを受けて7月末で廃業となってしまいます。

商店街に近く、人が集まる場所にある銭湯は何とか存続しているものの、住宅街にあり近所の人だけが通う銭湯は、内風呂の普及で使命を終えていくという図式が東京全域で感じられます。ここ北区赤羽付近には、関東大震災後、同潤会赤羽普通住宅、十條普通住宅として、被災者用復興住宅が大量に建設されました。これらを中心に広がった住宅地に、銭湯は欠かせない存在だったのではないでしょうか。

現在でも街区のパターン、街路樹、独特の木造住宅に同潤会住宅の面影を感じることはできますが、住宅地にお約束のようにあったはずの多くの銭湯は姿を消してしまったようです。

港湯はJR東十条駅の北口から西へ5分ほど、住宅街の細い道に面してひっそりとあります。気泡とジェット、二つの浴槽がありますが、サウナはなく、そのほかあまり特徴はない普通の銭湯です。脱衣場の木の床と木桶が少しなつかしい感じがします。お客さんも近所のお年寄りが支えているようです。

「7月末で閉めるんですか。」「ええ、あと二、三日、長い間ありがとうございました。」「どうも・・・・・・」